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[情熱]主義

#04

型にはまった未来ではなく、自分だけの、納得のいく未来のために。 工学部 機械工学科 坪井 涼 型にはまった未来ではなく、自分だけの、納得のいく未来のために。 工学部機械工学科 坪井 涼

学生と対等な立場で向き合う。

坪井 涼先生のことを、学生からすれば「アニキのような存在」と言う人がいる。
「とりあえず否定はしませんが(笑)。たしかに学生との間に上下関係をつくろうとは考えていません」。
学生時代、坪井先生を指導した恩師は、こんなことを言った。
「大学の先生というのは、卒業した学生たちにとっての一生の無料コンサルタントみたいなものだ」と。
その言葉を師匠からの教えとして学生を指導する坪井先生のところには、学生生活や研究についてはもちろん、卒業後エンジニアとして活躍する際にも、何かと相談に来る学生、OBは少なくない。そんな時は、自分の人生経験、長年の研究によって培った知識、人脈をもとに、親身になってアドバイスをする。

坪井先生

「でも、頼られるだけじゃないですよ。いつの日か成長した彼らが、企業との共同研究の話を持ち込んできてくれるかなとか。そんなことも期待しています(笑)」。

「僕は教える立場ですから、そこにベストを尽くしているつもりです。だから学生も、教えられる立場としてベストを尽くしてほしい。頼ってきてくれたら、いくらでも応えます。ただ、僕に依存するのではなく、しっかりと自分の意志を持って、対等な立場で向き合ってほしいと思っています」。

「数字」としんに向き合い、自分の足で立ち、
正しい判断をするための基盤をつくれ。

4年次には研究室に配属になって研究に取り組む。このわずか1年の間に学生たちに伝えられることは、そんなに多くない。ましてや卒業後、その研究内容が社会でそのまま役に立つかというと、それも難しいだろう。坪井先生は限られた時間の中で、学生たちには研究の成果以上に研究に向き合う姿勢の大切さに気付いてほしいと思っている。

卒業研究といえども研究で一つの結果を出すためには、当然時間がかかる。簡単に答えが出る方法はない。また、得られた結果も先生が要求する水準を満たしていないかもしれない。その場合は当然、やり直しになる。ここで、学生にはこれまでの実験で得られたデータを全部捨てることになってでも、もう一度、一からやり直そうという勇気を持ってほしい。「数字」は、ゼロコンマ1違うだけで、時として人の生命に関わることもある。数字と向き合うことは、それだけの責任が求められる。どのような産業であっても、それだけの意識を持つ必要があると先生は考えている。時間がないからといって、数字が示す客観的な事実を無視し、数字をごまかすことだけはしてほしくない。だから、先生は時に厳しく、研究と向き合うこと、数字と真摯(しんし)に向き合うことの大切さを伝えている。わずかな違いをおろそかにすることなく、実直に真摯(しんし)に向き合う姿勢こそが、社会に出て、自分の足で立ち、正しい判断をするための基盤になると、確信しているから。

失敗を積み重ねた数だけ、将来の失敗は少なくなる。

学生は失敗をする。時には先生も驚くほどの失敗をするときもある。ある時、実験に集中するあまり、脇にあったノートパソコンに気が付かず、ノートパソコンを落として、1個何百万円もする研究用の付属パーツを壊してしまった学生がいた。研究室の中には、そんな高価な研究機材が多数あり、当然、慎重にならないといけない。壊してしまった本人は、すぐに先生に連絡することができなくて、しばらく車の中で落ち込んでいたという。
その時、先生は「遊んでいて壊したのならともかく、明らかに一生懸命研究に取り組んでいる時の失敗なのだから、しょうがない」と、その学生を責めなかった。しかし、同時に「もし、企業において自らの過失で仮に生産ラインを止めてしまったとする。そのことで会社に多額の損害を与える可能性だってあるのだから、今回のような失敗は繰り返さないように、これまで以上に注意しなくてはいけないぞ」と伝えた。

坪井先生

「学生時代に失敗したことって、案外忘れないですよ。いつまでも酒のさかなにして笑ったりしますから(笑)。でも失敗を積み重ねた数だけ、将来の失敗は少なくなると僕は思っています。まあ、だからといって研究室の何百万とする機材をしょっちゅう壊されたら困りますけどね。ちなみに、そのパーツは運良く無料で済みましたよ」。そう言って坪井先生は笑う。

自分の可能性を信じ、何かにのめり込んで自信を深める。

坪井先生は、東京の大学で流体のシミュレーションを学び、その後、トライボロジー(摩擦学)の研究に転身し、現在も研究の対象を広げている。学生時代の恩師は研究の内容や方法を押し付けなかった。だから、坪井先生は学生時代も教員になってからも自由に学び、幅広く学んだことが教える上での自信になって教員として大学の教壇に立っている。 そんな自分の経験から、坪井先生は、自らも学生たちに、あえて「これをやれ」とは言わない。先生が学生たちに口を酸っぱくして言うのは、まず興味の持てる対象を探せ、ということだ。学生時代という限られた時間に全力でそのことに打ち込みたい、そう思える対象を持つことができるか。何かにのめり込んで打ち込んだ結果は、必ず本人の血となり肉となり、自信となる。もちろん、そういう対象に出合うことは非常に難しい。だけど、諦めてはいけない。

坪井先生

坪井先生は言う。「それは、自分の中のさまざまな可能性を信じることでもあります。最近の学生は、『夢』を語ることに対して臆病だといわれます。こんなことを言うと笑われるんじゃないか、とか。実現しなかったらかっこ悪い、とか。たしかに、一番になること、金メダルを取ることは素晴らしいことです。でもそれだけじゃないと思います。金メダルをめざして、どんなに小さなことでも自分がこだわりを持って打ち込んだことは自信になると思いますし、その過程を大切にしてほしいです。やりたいことに決められた道やルールなんてないと思っています。何かに一生懸命取り組む人に、周りの人は魅力を感じ、共感すると思います」。学生たちに、型にはまった未来ではなく、自分だけの、納得のいく未来を見つけてほしいから、坪井先生はいつも学生たちに寄り添う、学生たちの「アニキのような存在」なのだ。

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