魔方陣

・魔方陣ってなに?
 魔方陣とはn行n列のマスに 1〜n2 の数をいれて、すべての行、列、そして2つの対角線上の数の和が等しくなるものです。nは3以上の場合を考えます。下に一番簡単な例を示します。これは3行3列の魔方陣ですが、3次の魔方陣とも呼ばれます。1〜9を並べて、行、列、対角線上の数の和を等しくします。

  行は   2+9+4=15  7+5+3=15  6+1+8=15
  列は   2+7+6=15  9+5+1=15  4+3+8=15
  対角線は 2+5+8=15  4+5+6=15
となって、確かに和がすべて等しくなっています。
 同じようにして4次魔方陣、5次魔方陣、6次魔方陣・・・があります。下の例を見て行、列、対角線の和が等しくなっていることを確認してみてください。
 魔方陣は英語では magic square です。昔からヨーロッパでも中国でも、魔方陣は神秘的なものとして多くの人を魅了してきました。現在でも魔方陣の研究をしている人がたくさんいます。昔と違ってコンピュータという道具があるので、いろいろなことが分かってきましたが、コンピュータを以ってしても分からない謎もたくさん残されています。
 なお、「悪魔くん」や「グルグル」にでてくる「魔法陣」はまったく別の物です。

・魔方陣の解はいくつある?
 さて、このような魔方陣を作るにはどうしたらいいでしょうか。3次魔方陣ならば少し考えるだけでも求められると思いますが、4次以上はなかなかできないでしょう。そして、解(答え)をひとつ出すだけでなく、全部で何通りあるのかに興味がもたれます。
 解がいくつあるかを考えるときは、回転や裏返しをどうするか決めておかないと話が混乱してしまいます。たとえば、上の3次魔方陣で全体を90°右回転したものも魔方陣になっています(数字の向きは直してくださいね)。同様に180°、270°回転したパターンも魔方陣です。さらにそれらを裏返したものも魔方陣です。そうすると1つの解から7つの解が簡単に求められます。実際に解を数えるときは、このように回転や裏返しで一致するようなものは一種類として数えることにします。
 で、n次魔方陣の解の個数は何か公式でもあって簡単に求められると思われるかもしれません。ところが公式などはなくて、とにかく全部計算してみないと分からないという厄介な問題なのです。

・3次魔方陣の個数
 3次魔方陣の解は上に示した1つだけです。

・4次魔方陣の個数
 4次魔方陣は880種あります。これはコンピュータが発明される以前にすべて求められていました。現在ならパソコンですぐに全部の答えをだせるでしょう。プログラミングの演習問題として手ごろなところだと思います。
  → 4次魔方陣の性質   → 特殊な4次魔方陣   → 4次魔方陣のすべて   → 4次魔方陣を求めるプログラム

・5次魔方陣の個数
 5次魔方陣はなんと、275,305,224(約3億)もあります。これは1973年にアメリカのシュレーペルがコンピュータですべてを計算して初めてわかったことです*1。しかし残念なことに、このことはあまり話題にされなかったので、その後20年以上たっても5次魔方陣の総数は不明と書いてある本がありました。この計算は1970年代のコンピュータにとっては大仕事でした。大変な計算時間がかかったそうです。今なら、多少待ち時間が長くなりますがパソコンで計算できます。ただし、プログラムを組むのはそんなに簡単ではないかも知れません。当研究室でも以前、卒業研究ですべて計算を行いました。
  → 特殊な5次魔方陣

・6次魔方陣の個数
 5次魔方陣でこれだけの数になると6次魔方陣はいったいどれだけ多くなるのでしょうか。正確な数は現在わかっていません。それは最新のスーパーコンピュータを使ったとしてもとても計算しきれないからです。でも、およその数ならわかります。1992年に「ランダムサンプリングによる推定」という方法を使って、当研究室で計算されました*2。その数は1.8×1019です。つまり
  約 1800京
になります。後の1998年にドイツのK.PinnとC.Wieczerkowskiもほぼ同じ数(1.775×1019)を出しています。


  → 特殊な6次魔方陣

参考文献: 方陣の研究 大阪教育図書 1983年 平山, 阿部 (魔方陣全般を非常に詳しく解説しています)
       *1Scientific American 1/1976 (Martin Gardnerによる紹介)
       *2「ランダムサンプリングによる6次魔方陣の総数の推定」数芸パズル第177号 1992年4月 pp13-20 大石     → PDF

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大同工業大学 情報学部 大石研究室