特殊な5次魔方陣

・内包魔方陣
 魔方陣の中に魔方陣があるものを内包魔方陣といいます。4次以下ではありえませんが、5次では下の図のように3つのタイプの内包魔方陣があります。全体が5次の魔方陣になっているだけでなく、内側の3×3の範囲も縦、横、対角線の和が一定になっています。
 形としてはI型が最も美しいので数も少ないと思うかも知れませんが、実は最も多くて174,240通りもあります。それは、内側の3×3の方陣を回転したり、裏返したりしても内包魔方陣の性質が保たれるためです。それに対してU型は12,416通りと少なくなります。そしてV型はたったの444通りしかありません。
[これらは92年度卒研生の岩崎眞啓君と岩瀬正治君が計算してくれました。]



・完全魔方陣
 5次の魔方陣にも完全魔方陣があります。下の図のように,すべての汎対角線上の数の和も同じになります。さて、この5次の完全魔方陣の数ですが、回転と裏返しを数えないという標準的な条件では3600通りあります。文献によっては144通りと書いてあるものがありますが、これは3600を25で割った数です。それは、完全魔方陣は行のローテーション5通り、列のローテーション5通りに関しても完全魔方陣の性質が保たれるのためです。その条件が明記されていないと誤解を招きやすいので注意してください。

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大同大学 情報学部 情報システム学科 大石研究室