・レーザなどによって一部を加熱すると,異種材を接合したり表面を改質することができます.その部分のミクロな構造と特性との関係を明らかにしようと日夜取り組んでいます.ミクロ構造とは多様な原子が配列した結晶が集まったグループ(相)の組合せを指し,ミクロ組織とも言います.ミクロ組織は熱や加工のエネルギーを受けて生き物のように変化します.これをうまく制御すれば,機械材料は優れた力学特性や電磁気特性を持つようになるのです.
・簡単に言うと,熱を多く投入するほど原子が良く拡散して均一な相を形成し,これに大きな加工を加えるほどミクロ組織は微細になります.従来はこのようにして優れた強度を持つ合金材料や機械部品を製造していました.しかし近年の環境問題に対応して,特に自動車分野では部品が小型・集積化され,その生産技術にも多くの革新が起こっています.加熱するのも,短時間で必要な部分だけに(局所加熱),大きな設備を使わずに,そして汎用材料をベースに「適材適所」で改質する,あるいは高機能材を付加・接合していく.
いかに省エネルギーの加工プロセスでミクロ組織を意図したものに変化させるか
田中研では将来のモノづくりを目指した合金材料の基礎研究を続けています
2025年度の学部4年生を迎えました
今年は13名4年生,1名の院生という布陣.
研究テーマもだいぶ変わります.初回のセミナーでは研究対象ごとに4つのチームを作り,各メンバーが希望のチームを選びました.
2024年度は過去最多の12名の学生が旅立ちました!
今年は9名の4年生,3名の院生が無事,3/21に学位授与式を終えました.
いつもながら揃いが良くなく3人ほど写ってないですが,とにかくおめでとう!
今回の卒論と修論の査読・指導はなかなかなボリュームでした.週末は近所の図書館自習室に通いずっと赤ペンを持っていた気がします.来年は何と15名になる予定...
2024年度 修了生 嵯峨 功大さん,辻篤志さん,渡邊静さん
M2 嵯峨 功大
修士論文: Cu-Fe-O系融体の高温物性~表面張力の計算モデル~ |
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M2 辻 篤志
修士論文: Cu合金と酸化物の融体プロセスによる電磁気特性の制御に関する研究 |
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M2 渡邉 静
修士論文: 酸化物粒子分散型Ag系接点材/Cu系基板のレーザ接合プロセス |
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日本鉄鋼協会第188回講演大会学生ポスターセッションで奨励賞を受賞!
日本鉄鋼協会は年2回,日本金属学会とジョイントで講演大会を開催しています.鉄鋼各社のハイレベルな研究発表とともに,多くの学生に発表機会を提供するため,学生ポスターセッションが行われます.今回も鉄鋼の各分野で合計80件ほどのポスターがありました.大学院生の発表登竜門になっているようです.今回はM1福冨が以下のタイトルで報告しました.
Cr-V鋼の累積加熱におけるγ+α域加熱が炭化物析出に及ぼす影響
厳しい残暑の中,大阪大学豊中キャンパスの大学会館サイエンス・コモンズで行われ,審査員の先生方とのディスカッション30分のあと,次々とやってくる学会参加者に2時間半にわたって説明するという立ち詰めでがんばりました.最後の方で,東北大学金属材料研究所(IMR)の古原先生がお見えになり,一生懸命説明しました.IMRには,ほんの1週間前に4年生が実験でお世話になったばかりです.夕刻に参加学生無料のビアパーティーがあり,ナノ析出物の構造解析を指導して頂いた名工大・森谷先生(写真左)と談笑していると表彰式が始まり,奨励賞として早々に名前が呼ばれて驚きました.
夏のオープンキャンパスで模擬実験を行い,高校生10名が参加しました
金属を繰り返し曲げると硬くなった経験ありませんか?
機械材料は変形させて部材・部品に加工しますが,この硬くなる現象は原子のならびが乱れることから発生しています.スチロール球を使った「乱れ」のモデルで学習し,実験では実際に金属線を加工して硬くなること(加工硬化)を体験し,さらに加熱して「乱れ」をとれば再び曲げやすくなることを学びました.
2023年度のニュース
実験室が広く,新しく,機能的になりました!
これまで3つの小部屋に分かれていた実験室が,大きな実験室に集約されました.移転にあたっては各装置の結線を外し,主要部分をクッション材でつつみ,再び結線と配管に悩むという皆さんの苦闘を経て,無事すべての機器が再稼働しました.D棟1階の奥ですが,西側窓に面して明るいです.徳納先生の実験室にあった装置の一部もやってきました.そのため,他の研究室の学生も頻繁に出入りし,楽しくかつ他の人がどんな実験をしているかなど交流しやすい開放的な実験室になりました.
2022年度までのニュース
研究室のアクティビティ
研究中!レーザ造形した複合材料の組織と電磁気特性
今や身の回りにあふれている電磁気製品.磁気を通すには鉄(Fe)系の軟磁性材が使われ,一方電気を通しやすいのは銅(Cu)やアルミニウム,銀など.これらが複合化されて電磁気部品は製造されています.そもそもFeとCu,Alなどは溶接しにくく,通常はロウ付けなどで接合されます.私たちは電気接点部や特殊抵抗部分を直接レーザで造形することで,電気部品の多様化に応えるフレキシブルな製造法を目指し,様々な基材に対してCu合金や酸化物分散Agを溶着させた時の特性を調べています.
(日本銅学会および学内の研究奨励金を頂いています)
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学内の中間発表会・学会発表・論文勉強会
9月に行われる中間発表会は,卒研生が初めて教員の前で発表する機会です.ここではまだ研究データが出ていなくても,研究の背景やねらい,今後の研究計画について説明します.何のためにこの研究をやっているのか,どんな結果にたどり着きたいのか,どんなアプローチをとるのか,新しさはどこか...などが問われる緊張感のある場です.
一方,大学院生は学会に学生会員として所属し,講演大会で口頭発表やポスタセッションをしなくてはなりません.既存の研究を理解するため,写真のような論文勉強会も行っています.
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実験装置:顕微鏡サーモビュア
銅(Cu)やアルミニウム(Al)は電気を良く伝え,リチウムイオン二次電池の構部部材として欠かせない材料です.でもAlはとても活性な金属で接合が難しい.接合状態が良くないと電気抵抗が増加し,発熱などの損失になります.接合部の複雑なミクロ組織中を流れる電気が見えれば... ↓すごい装置があります!
(顕微鏡サーモビュアで見た通電中の接合試料のミクロな温度分布)
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教育活動や担当授業
2023年度の担当授業は,前期に3年生向けの「機械英語A」,後期に2年生向けの「機械設計製図2」です.ここではCADソフトを利用して,部品の3Dモデルから製作図の作成し,さらに部品どうしが干渉せずに機械が正しく動くように,コンピュータ上でアセンブリ(組立て)を行います.
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