学内・学外の材料科学に関する教育活動を紹介します



工学実験12

教育活動<学内>

<2024/4/9>機械材料学基礎

機械工学科2年で始まる材料学の基礎科目です.今年から担当しています.左は鉄やアルミニウムの結晶構造の模型で,原子が最も詰まっている断面(最稠密面)を示しています.金属のような結晶材料が変形する時,この面が重要な役割を果たします.

右はなかなか説明が難しいのですが,「共晶型状態図」という合金のミクロ組織を決める大事な図があって,そこから凝固組織が作られる様子を示したアニメーションです.色の変化が濃度の変化を表していますので,注意して見て下さい.


<2023/8/21>機械英語A

昨年から開講している「機械英語」.英語は苦手と言う学生も多いです. 今期は私が授業担当でした.初めは文法の復習からやりましたが,後半はまず文章からキーワードを探し,工学知識を活用して要約することを繰り返しました.その結果,大半の学生がさらっと和訳できるようになりました.
工学で英語が必要な場面は,技術書を読むとか,マニュアルを解読するとか,海外工場の人と打合せするとかです.だから何に関する話か予備知識がありますから,キーワードさえ間違わなければ良い.繰り返せば何度も同じ用語が出てきますから,そのうち和訳も必要なく,頭の中で英語のまま大意がつかめるようになるでしょう.


<2023/9/22> 加工組織学特論演習

大学院の授業の紹介です.「加工組織学」って何? 一言でいうと,金属を加熱すると原子レベルで何が起こるか,であっこれを知っていれば,同じ材料を加熱しても硬くしたり柔らかくしたりが思いのまま.
さて前期にそういう材料熱力学を講義しまして,後期にはシミュレーションソフトを使った演習を行いました.今や全ての元素の組み合わせで,混ぜた時にどんな構造(相)になりたがるか,その過程である拡散にはどれくらいの時間がかかるか,データベースが張りめぐらされています.図はそのデータベースを読み込み,アルミと銅を混ぜた合金の相図を計算したもので,縦軸が温度,横軸が銅の濃度です.興味があったら,使えますからA1302へお訪ね下さい.


<2023/7/23> 新1年生に「接合加工学」を講義しました

機械工学科では,一年生向けに機械のさまざまな分野を各教員から紹介する入門セミナー全14回で行っています.専門的な話だけでなく,安全教育やキャリア教育,大学院進学についての話もあります.私は接合加工学で,溶接や固相接合で起こる材料現象を,やや難しく解説しています.


<2022/7/17> 夏のオープンキャンパスで模擬実験

「熱による金属の性質変化」という模擬授業・実験を担当しました.大学院生が実験スタッフとして手伝います.多くの高校生が参加してくれ,銅線とピアノ線をバーナーで加熱し水中冷却することで,それぞれ硬さがまるで違ったように変化することを学びました.


教育活動<学外>

<2024/8/30> 光産業創成大学院大学が主催するレーザー
ものづくり講座で講師を務めました

今年も表記講座で「金属材料の基礎 金属の結晶構造から硬化
原理まで~」と題して,レーザ関連メーカーの社会人学生向け
に講義をさせて頂きました.今年で4回めの講義です.今回は
少し内容を変え,以下の概要で話しました.

1. 金属の構造と物性     2. 加熱による金属の変化

(1) 結晶構造・結晶粒     (1) 物質のエネルギー
(2) 合金の構造 ー固溶体ー  (2) 熱活性化過程と拡散
(3) 金属の変形と強化原理   (3) 化学平衡
(4) 加熱に関わる金属の物性

3. 2元系平衡状態図     4. 鉄鋼の熱処理と相変態

(1) 単相・溶解限・固溶限   (1) オーステナイト化
(2) 2相平衡         (2) 冷却速度による変態組織の変化
(3) よくある状態図のタイプ  (3) マルテンサイト変態と強化機構

5 熱処理へのレーザー応用

(1) レーザー熱処理の守備範囲
(2) レーザー焼入れの利点と課題
(3) レーザー焼入れの事例
(4) 高周波焼入れとの比較

昨年までの講義と比べてやや基礎的かつ強化原理を加えて焼入れで
どうして硬化するのかが分かるように配慮しました.その結果,
もっと金属のことを知りたい,レーザ焼入れ事例を解説して欲しい
など熱心なアンケート回答を頂きました.
次年度はもっと満足してもらえるよう改良していきます.


<2024/7/18> 日本鉄鋼協会のフォーラムで「熱処理の基礎」を講演しました.

同フォーラムの第34回研究会が東京の機械振興会館で行われました 第34回研究会 「熱処理技術の基礎と技術開発状況」の案内はこちら.


<2023/11/7>熱処理技術協会中部支部が主催する講習会「金属熱処理の基礎」 で講師を務めました

本支部主催の基礎教育講座で,以下の講義を2日にわたって集中して解説するものです.私は「熱処理を原子の次元で考える」を担当しました.

1.鋼材の生まれと鋼種の選び方 2.鋼材の諸特性と熱処理
3.熱処理を原子の次元で考える
4.熱処理装置と温度の制御
5.一般熱処理作業のプロセス
6.表面熱処理作業
7.熱処理欠陥と対策
8.工具鋼の熱処理
材料初学者の方にも易しく,を心がけ2時間かけてゆっくり話を進めました.来年もご参加をお待ちしています.


<2023/10/31>日本熱処理技術協会の「熱処理ガイドブック第5版」を共同執筆し,大河出版から発行されました

[改定によせて(抜粋)] 鉄鋼材料は,豊富な鉄資源に加え高いリサイクル性,高度にバランスした強度とじん性,そしてコストまで考えれば,その重要性は将来に渡って揺るぐことはないでしょう.この鉄鋼材料を,需要に応じた最適な機能を有する材料として,しかもより低コストで供給できるかどうかは,真に熱処理次第とも言えます.
 本書は,そのような背景のもと,近年の社会の要請に応えるため,鋼材の製造法から,各種鋼材特性,熱処理基礎原理,一般熱処理と表面熱処理の実際に使われる設備や実作業,熱処理欠陥と対策,そして鋼材の機械試験に至るまで,周辺技術を含む全方位で詳しく平易に解説しており,現場技術者はもちろん研究開発者にも役立つ内容となっています.

[執筆者] 安達裕司,岩瀬厚司,川嵜一博,神田輝一,田中浩司,
辻 隆治,南部紘一郎,松原 周,水越朋之,山本 卓,渡邊陽一

大河出版販売ページはこちら

<2023/8/31>光産業創成大学院大学が主催するレーザーものづくりで講師を務めました

今年も表記講座で「金属材料の基礎 ~レーザ加熱で知っておくべきこと 鉄鋼材料の焼入れ~」と題して講義をさせて頂きました.今年で3回めの講義です.

レーザーものづくり講座についてはこちらを参考にして下さい.レーザー分野の専門家による実用的な講義と,10種類以上の産業用機器を扱い,レーザー加工の原理やノウハウ,装置の基本構成を体得する実習から構成されています.


<2023/3/1> 日本鉄鋼協会で入門講座の著者として講演動画が公開されました

同協会では鉄鋼の基礎技術教育として,主に会員誌「ふぇらむ」に掲載された入門講座の解説をオンデマンドで受けるサービスがあります.田中は2018年10号~2019年8号にシリーズ掲載された「平衡状態図の活用」で,"第2相を支配する溶質の固溶度と局所平衡"と題した解説を書きました.このたび,これにそって作成した新たなスライド資料で講義する動画が公開されました.他にも,鉄鋼のプロになるために大変有用な入門講座が公開されています.会員の方はぜひ視聴下さい.
鉄鋼協会の入門講座はこちら(利用は会員限定)です.


<2022/8/4>中核人材育成講座レーザーものづくりで講師を務めました

関東経済産業局の委託事業で光産業創成大学院大学が主催する表記講座で,「金属工学概論」「レーザ熱処理」の講義をさせて頂きました.今年は2回めの講義ですが,状態図や相変態など専門的な内容を,例えや例題を交えてできるだけやさしく,でも分かった気になるように配慮して話しました.
終了後「講義の途中でまとめをしていただいたので、わかりやすかった」「相変態のイメージが良く理解できました.マルテンサイト変態についても良くメカニズムが分かりました」などの感想を頂きました.


<2022/6/1> 高校へ出張講義

岩倉総合高校工業科の生徒さんを対象に,「自動車製造における先端加工と用いられる材料の科学」と題した講義をさせて頂きました.進学や就職を控えて大学で学ぶことを体験してもらうことが目的です.興味を持って聞いてくれた生徒さん,ありがとう.大学の授業は90分です.長くて疲れたことと思います.


<2021/10/25> 学外での講義

客員教授として浜松にある 光産業創成大学院大学にお世話になっています.この日は光加工・プロセス特論の第2回,第3回を続けて講義させて頂きました.それぞれ「金属工学概論」「レーザー加熱溶融プロセス」が講義の主題です.日頃,レーザ加工技術を極めておられる企業の方に聴講して頂き,金属の熱による構造変化についてレーザ加熱ではどんな特異性があるのかに重点をおいて話しました.お役に立てば良いのですが.