・田中研究室は2018年度に発足しました.レーザなどによって一部を加熱すると,異種材を接合したり表面を改質することができます.その部分の構造と特性との関係を明らかにしようと日夜取り組んでいます.ここで言う構造とは原子が周期配列した結晶が集まったグループ(相)の組合せを指し,これをミクロ組織と呼びます.
ミクロ組織は熱や加工のエネルギーを受けて生き物のように変化します.これをうまく制御すれば,機械材料は優れた力学特性や電磁気特性を持つようになるのです.
・簡単に言うと,熱を多く投入するほど原子が良く拡散して均一な相を形成し,これに大きな加工を加えるほどミクロ組織は微細になります.従来はこのようにして優れた強度を持つ合金材料や機械部品を製造していました.しかし近年の環境問題に対応して,特に自動車分野では部品が小型・集積化され,その生産技術にも多くの革新が起こっています.加熱するのも,短時間で必要な部分だけに(局所加熱),大きな設備を使わずに,そして汎用材料をベースに「適材適所」で改質する,あるいは高機能材を付加・接合していく.
いかに省エネルギーの加工プロセスでミクロ組織を意図したものに変化させるか
田中研では将来のモノづくりを目指した合金材料の基礎研究を続けています
就職先はどのように決めましたか?
材料の研究に関わる仕事をしたいと思っていたところ,大同特殊鋼から来られた植益さんにいろいろお聞きし,また修士研究で今の会社を先生と訪れて難しい分析を依頼したことがきっかけとなりました.
今どんな仕事をされていますか?
大同特殊鋼や他の企業から材料の評価・分析の依頼を受け,それを報告書にまとめて返すまでの当社の業務を管理しています.いろんな専門技術が分かって楽しいです.
大学院の2年間で就職に役立ったことは?
課題解決の力がついたことでしょうか.仕事でヤバい・苦しい状況になっても何とか乗り切れそうな気がします(interview on 2023.6.9).
※この日は研究室で懇親会を行い,OBとして児玉さんが来てくれたので,卒業を控えた4年生から質問が相次ぎました.とても楽しい夜でした.
研究中!レーザ造形した複合材料の組織と電磁気特性
今や身の回りにあふれている電磁気製品.磁気を通すには鉄(Fe)系の軟磁性材が使われ,一方電気を通しやすいのは銅(Cu)やアルミニウム,銀など.これらが複合化されて電磁気部品は製造されています.そもそもFeとCu,Alなどは溶接しにくく,通常はロウ付けなどで接合されます.私たちは電気接点部や特殊抵抗部分を直接レーザで造形することで,電気部品の多様化に応えるフレキシブルな製造法を目指し,様々な基材に対してCu合金や酸化物分散Agを溶着させた時の特性を調べています.
(日本銅学会および学内の研究奨励金を頂いています)
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学内の中間発表会・学会発表・論文勉強会
9月に行われる中間発表会は,卒研生が初めて教員の前で発表する機会です.ここではまだ研究データが出ていなくても,研究の背景やねらい,今後の研究計画について説明します.何のためにこの研究をやっているのか,どんな結果にたどり着きたいのか,どんなアプローチをとるのか,新しさはどこか...などが問われる緊張感のある場です.
一方,大学院生は学会に学生会員として所属し,講演大会で口頭発表やポスタセッションをしなくてはなりません.既存の研究を理解するため,写真のような論文勉強会も行っています.
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実験装置:顕微鏡サーモビュア
銅(Cu)やアルミニウム(Al)は電気を良く伝え,リチウムイオン二次電池の構部部材として欠かせない材料です.でもAlはとても活性な金属で接合が難しい.接合状態が良くないと電気抵抗が増加し,発熱などの損失になります.接合部の複雑なミクロ組織中を流れる電気が見えれば... ↓すごい装置があります!
(顕微鏡サーモビュアで見た通電中の接合試料のミクロな温度分布)
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教育活動や担当授業
2023年度の担当授業は,前期に3年生向けの「機械英語A」,後期に2年生向けの「機械設計製図2」です.ここではCADソフトを利用して,部品の3Dモデルから製作図の作成し,さらに部品どうしが干渉せずに機械が正しく動くように,コンピュータ上でアセンブリ(組立て)を行います.
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