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学ぶ意欲が燃え上がる 実学教育

工学部 電気電子工学科

卒業研究(4年次)

企業との共同研究を通じて、課題解決能力やチームワークを学びます。

加納研究室での卒業研究の最大の特色は、企業との共同研究が研究テーマとなることです。企業が抱えている最先端の課題に挑戦することで、エンジニアに欠かすことのできない課題解決能力やチームワークを磨きます。

家電・産業・自動車分野で用いられるモータの形状設計をテーマに、まず導入として、コンピュータシミュレーションを用いてモータ内部で起きている電磁気現象の可視化を行います。シミュレーションソフトは、大手の自動車メーカー、電機メーカー等でモータ設計に使われているソフトと同じものを使用します。非常に高価で、使いこなすのが難しいソフトですが、学生のうちに慣れることで実社会に出たときのアドバンテージになることが期待されます。

その後、2~3人のグループに分かれて、担当企業の研究対象モータを実験・シミュレーションを通じて分析・評価します。その分析データをもとに改良の余地を探り、より性能向上を実現するための形状デザインや,時には性能のブレークスルーを実現する新しいモータ構造の考案を行います。大切なのは、「モータの長さを20%小さくすると,このモータを使った製品の価値が上がるので,そこまで小さくしよう」など、より具体的な数値で表せる目標を掲げて研究を進めること。目標が明確であるほど、そこから逆算して今やるべきことを見出せます。ただし、目標の難易度は適切か、目標達成にかかる時間と費用など、実現のために必要な判断力を養うことはさらに重要となってきます。なぜなら、実際の企業での研究は常に納期や予算が決められているからです。経験を積まねばなかなか身につかない力ですが、仲間と意見をぶつけ合いながら試行錯誤を続けることで少しずつ養われていきます。

数値目標を明確にし、試行錯誤を繰り返し、何度も軌道修正しながらモータを改良する。実際のモノづくりの現場と同じプロセスをたどり、モノづくりに必要なセンスや、現場で欠かせないチームワーク、問題解決力を身につけることができます。

卒業研究(4年次)

「自学自習」の中で、答えは自ら導き出すものであることを学びます。

川福研究室の卒業研究は、「自動車の運転制御の研究」をテーマとしています。雪道などの危険な状況でも、クルマが安全で快適に、ドライバーの意のままに動いてくれるような「制御」について研究しています。自動車の安全性能の分野では、さまざまな新技術が生み出され、実用化されています。川福研究室の研究も近い将来、そのような新技術の一つに数えられる可能性があるかもしれません。

研究では、グループに分かれ、これまでの3年間で学んだ知識や技術をベースに、マイコンを利用したラジコンカーの走行プログラムの設計に取り組みます。最初の関門は、9月中旬に行われる「お披露目会」。学内外の教員や学生、職員などを招き、その目前で、見事に走らせることができるかどうかが試されます。
お披露目会に向けて、多くの学生は夏休み返上で取り組みます。中には帰省などのために、どうしても研究室に来られないという学生もいます。このため、どうしたら9月中旬のお披露目会に間に合わせることができるかをグループで話し合い、役割分担、スケジュールなどの計画を立てます。このような経験が、チームワークと計画性を育てます。

川福研究室のポリシーは、「自学自習」。もちろんわからないことがあれば、学生は先生に質問します。しかし、先生は簡単には答えを返しません。どこがどうわからないのか、自分なりにどのように解決しようとしたのか、先生は学生に問いかけます。当初、多くの学生は問いに答えられません。目的に対する課題を整理し、順序立てて、一つひとつを理路整然と検証していないからです。この場合、最終的なノウハウはさして重要ではありません。むしろ、課題にぶつかった際に、目的に対してどのように自ら突破口を見つけ、解決に結び付けるのかが重要で、それは社会に出れば、当たり前のように突きつけられることです。

どうしたら解決できるか、チーム内で問題を整理・分類し、一つひとつ丁寧に議論と試行錯誤を繰り返すことで、考える力が養われ「自学自習」につながるのです。学生は、答えは自ら導き出すものであることを「自学自習」の中で学び、社会で生きぬく力を身に付けていきます。

卒業研究(4年次)

机上の知識を現実の電力機器に結び付け、お互いを高め合うチームワークを身につけます。

高木研究室の卒業研究は、「電力貯蔵」が主なテーマ。近年、風力発電や太陽光発電が盛んになっていますが、これらは風や太陽光など不安定な自然に影響されて、安定した電力供給が難しい発電方法と言えます。そこで、電気を貯蔵し、安定した供給が得られるようにするのが、大規模な電力貯蔵です。

学生は、電力貯蔵として有力視されている「圧縮空気電力貯蔵」「揚水発電」「水素電力貯蔵」などの方法を研究テーマに取り上げます。しかし、いきなり実験や研究に取り組むわけではありません。まず、自分たちが取り組む研究内容が、自分たちの暮らしや社会にとって必要不可欠の課題であり、価値のある研究であることを理解することからスタートします。ほぼ3カ月程度を費やして、自然エネルギーの特徴や電力貯蔵に関わる論文などを勉強します。これを通して、これから取り組む卒業研究のテーマが、どのように自分の生活に関係し、未来に役に立つのかを理解します。

自分のチームが取り組む研究テーマを理解した上で、次のステップは、自分たちの具体的な研究内容をチームで相談して決めることです。当初はテーマに対する理解度が学生ごとに異なったり、やりたいことが異なったり、さらにはチームメンバー間で説明がうまくできず、なかなかテーマを決めることができません。そこで、教員も一緒になって昨年度までの研究経緯などを説明しながら、チームで具体的な研究内容を決めていきます。このプロセスがチームとして共同で開発を進める最初の体験になっています。

実験に入ると、初めて触れるような電気に関する本格的な装置を使用します。これまでの実験では安全な30V以下の電圧を扱ってきましたが、卒業研究で使用するのは3相200Vの実用電力を扱います。モーターを回してみて、その迫力や、コンデンサーから出る火花に驚き、電力を通す電線がその電力量によって太さが違うことを知ります。また、万一の感電を防ぐため、半袖での作業は禁止など、安全に関わる重要な規則も身につけます。実験を通じて、今まで座学で得た机上の知識が、実際の電力機器の現場と結び付きます。

研究成果をまとめる上で重要なのは、到達目標を定めた実現可能な計画と着実な実行です。これまで進めてきたこと、次に取り掛かること、到達点に向けてなすべき工程をチームメンバーみんなで管理します。並行して作業を進めている場合には、順調な学生、遅れ気味の学生が出ます。このようなことに対しても、チームで相談して調整します。また、研究の途中では、理解の進む学生と遅れ気味の学生が出ます。しかし、実験が佳境に入るころには、自然にチーム全員が助け合いながら目標に向かって研究を進めるようになっています。

「自分のやっている研究内容の価値を知り、座学の知識を現実の電力機器に結び付け、お互い高め合うチームワークを身につける」これらが、卒業研究を通じて得られる「力」です。この力が学生を社会にとって有用な即戦力に育て、社会に出てからのキャリア形成の順調なスタートに役に立っていると考えています。