機械セミナ(1年次後期)
楽しく学ぶことで、学びの意欲へ。
1年次後期に開講される「機械セミナ」は、いよいよ深まっていく専門分野の学びに向けて、学生たちの“学びの意欲”を喚起することを目的としています。
そのために「機械セミナ」では、二つのテーマを設定しています。
まずは実際にモノづくりの現場を「見る」こと。愛知県は製造業が盛んです。その恵まれた環境を利用し、実際に日頃見ることができない大規模な工場などを訪問し、現場に触れることで、これから学ぶ分野の必要性や、自らの将来像を想像します。また、単なる「見学」で終わらせないために、訪問前に課題が与えられ、学生たちはその答えを現場で探しレポートにまとめます。学びの意欲をかき立てると同時に自ら情報を収集する力を身につけさせることも考えられています。
そして、もう一つが実際に「つくる」こと。
厚紙で片持ち
先生はあえて何もヒントは与えません。ここでは自分たちのアイデアがすべてです。学生たちは仲間と話し合いながら、どうしたら強度を高めることができるかを考えます。元々、モノづくりに興味がある学生たちですから、夢中になってモノづくりに取り組む様子からは、自ら考え、工夫し、つくることの楽しさが伝わってきます。一番優秀な作品を競い合う最後のコンテストも白熱したものになります。学生たちは楽しみながら、機械工学への興味を募らせていくのです。その興味が、専門分野への“学びの意欲”へとつながります。
機械製作実習1・2(1:1年次後期/2:2年次前期)
モノづくりの原点となる加工機械の操作方法を学びます。
「機械製作実習」では、設計図面から実際の製品に成型・加工する際に使用するさまざまな加工機械の操作方法について学びます。「測定と製図の基礎」「手仕上げ」「旋盤」「フライス盤」「接合加工(溶接)」「溶融成形加工(鋳造)」「MC(マシニングセンタ)」「CNC旋盤」など基本的な加工機械からコンピュータ制御を導入した最新の加工機械まで、10テーマの実習課題を設定しています。
これらの実習課題では、加工機械に触るのはもちろん、見るのも初めてという学生が少なくありません。しかし、先生が実際に機械を作動させ、旋盤で正確に材料が削られていく様子や、フライス盤によって鏡のように滑らかな面に仕上がる様子を見て、学生たちは驚き、感動し、「やってみたい」という思いが湧き上がります。
例えば、授業では、正常に作動するエンジンを、一度バラバラに分解して、再度組み立てる課題があります。しかし、エンジンは思うように動いてくれません。そこで、圧縮比、電気系統など、エンジンの原理を理解し、問題を解決していくと、エンジンは見事に動き始めます。
学生たちが将来、エンジニアとして何かをつくろうとする場合、「どのような機械をどのような順番で使うのか」、これらを思い描けるようになることが大切です。そこにはモノづくりのコストパフォーマンスや精度、速さの秘密があります。これらを理解していれば、現場への的確な指示ができ、現場の技術者との対話が可能になります。
現代の若者たちは、モノづくりへの興味が薄れてきていると言われています。学生たちのモノづくりへの興味を深めて、これからの日本のモノづくりを支えるエンジニアを育てることが、この授業の最終的な目的です。どれほどコンピュータ制御の加工機械が主流になっても、機械加工の基礎を理解することが、モノづくりの原点であることに、変わりはありません。
卒業研究(4年次)
なんでもやってみることで、経験値を上げ、社会のスピードに負けないエンジニアになる。
前田研究室での研究を進めていく上での鉄則は、「実験とシミュレーションの両者から得られた成果をきちんと融合させること」。実験結果をシミュレーションで解析し、シミュレーションで導き出したことを実験で検証する、したがって実験とシミュレーションは研究の両輪で、どちらもおろそかにしてはならない、と教えられます。
前田研究室では、企業との共同研究が多くあります。共同研究に参加する学生は、企業の研究者の驚くべきスピード感に圧倒されます。大学の卒業研究はおよそ1年をかけて行われますが、企業との共同研究では1件3カ月が基本。実験を行ったら、翌日か翌々日にはその結果をまとめたレポートを提出してメンバーで情報共有を行います。それくらいのスピード感を持たないと企業では通用しない、そのことを学生たちは身をもって実感することになります。
学生の提出するレポートには、はじめから「良い答え」を期待しているわけでありません。実験のレポートには「考察」することが求められます。なぜその結果になったのか。特に失敗したら、悪い結果になったのはなぜなのか? どのように改善するか? これらがきちんと考えられていることが大切なのです。
社会人にとって重要なものの一つに「経験値」があります。色々なことに目を向けて体験しておけば、将来新しい仕事に向かうとき、それが自信となって良い結果へと導いてくれます。やったこともないのにわかったふりをして、現場に出ればたちまち見抜かれてしまいます。「やらずして語るべからず」。自分の目と手と耳で感じとり、何にでも主体性を持って取り組むことで、スキル(経験値)が向上すると考えています。
こんな大学院生がいました。誰もが尻込みした海外国際会議での学会発表に自ら名乗りを上げました。英語での口頭発表を行い、ポスタープレゼンテーションも行いました。さらには懇親パーティーでは臨席の外国人研究者とのコミュニケーションもこなしました。誰もが驚きました。なぜならば、初めてパスポートを取得しての海外渡航で、学生の英語レベルは全然十分ではなく、人付き合いも得意ではなかった気がしたからです。それでも「成し遂げたい」という強い思い、前田研究室で育んだ「なんでもやってみる」という好奇心が、この学生を海外での学会発表へ向かわせたのだと思います。その学生は大手メーカーに就職しました。前田研究室のモットーの体現者として活躍を期待しています。