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[2026.3月卒業予定] 22生卒業研究発表会特集

みな12月初旬から卒論を書き始めました.1月に入ってからは何度も実験データをまとめ直し,画像に注釈を加えて卒論を仕上げていくとともに,要旨に大変苦労しました.限られたスペースに背景から目的,実験方法から結果まで,図を添えて簡潔にまとめるのは容易ではありません.卒論+要旨は1/22に提出しました。
その後,要旨でのまとめ方が基本になって,発表用のプレゼンテーションを作っていきました.発表も時間が限られているからです.長々と説明している時間はないので,図が全てを語る状態にしなければなりません.また発表のトークも3~4回聞いては修正しているうちにどんどん良くなります.土日に発表練習をした学生もいました.


掛水・山本「Cu粉末およびCu-Fe粉末の表面酸化が集光加熱溶融におよぼす影響」

Cuは高い熱伝導性・電気伝導性を有する一方で光吸収率が低く,レーザー肉盛りや積層造形における溶融制御が難しい.一般に粉末の表面酸化は融体の濡れ性や溶着性を低下させ,気孔などの欠陥発生につながる.Cu酸化物は他の金属酸化物と比べ不安定であり,Cu粉末の表面酸化が初期溶融挙動におよぼす影響については十分に明らかになっていない.本研究では,純Cu粉末およびCu-Fe粉末を対象として,予め付与した表面酸化膜や加熱中の酸素分圧に着目し,粉末間のネッキング形成と,それにともなう密度増加を評価することを目的とした.


横野「銅材料の形態や表面性状によるレーザ加熱特性の変化」

銅は高反射材であり,600nm以上の長波長において光吸収率が著しく低下する.このためIRレーザでは加熱されにくいが,一定条件を超えると急な入熱が生じやすいという問題がある.よって,安定した溶融池を得にくく,レーザによる溶融加工が困難な材料のひとつである.そこで,汎用的な当研究室の半導体レーザ装置での実験環境を整備した上で,ビーム光学特性の検証および加工点の温度測定法の整備を行い,安定した銅材料の溶融挙動の制御に応用することをねらいとした.本研究の目的は,粉末/バルク/圧粉体という材料形態に着目し,それらがレーザ加熱特性に与える影響を明らかにすることである.


小川・土方「レーザ肉盛り用耐摩耗Cu合金の硬質相改良による耐食性向上」

近年,自動車エンジンの高効率化を背景に,バルブシートの直接肉盛りが注目されている.バイオエタノール燃料では,燃料中に含まれる有機酸に起因して腐食環境が厳しくなっており,バルブシート材料には高い耐食性が求められている.本研究は現行のレーザ肉盛り用耐摩耗Cu合金(CuLS11)を対象とした.CuLS11系合金では,急冷凝固過程において二液相分離が生じ,Cu–Ni系マトリックス中にFe–Mo–Si系化合物が凝集した硬質相が形成される.硬質相はμ相およびLaves相であり,Moリッチ材に対するMo比を増加させた場合,FeをCrにした際の組織変化ならびに耐食性を明らかにすることを目的とした.


古居・齊川「レーザ溶融した耐摩耗性Cu合金中へのチタンホウ化物in-situ合成」

レーザ肉盛り用バルブシート材料には,優れた熱伝導性・耐摩耗性をもつCu-Ni-Si-Fe-Mo系合金が用いられており,この合金は急冷凝固過程において二液相分離を生じ,Cu–Ni-Si系のマトリックス中にFe–Mo–Si系化合物が凝集した硬質相が形成される.本研究では,肉盛り層のさらなる耐食性・耐摩耗性の向上を図るため,耐食性・耐摩耗性に優れるチタンホウ化物(TiB2)を強化相として分散させることを検討する.フェロTi,フェロBを原料とし,燃焼時に発生する大きな発熱反応を利用してTiB2のin-situ合成をねらうが,レーザ肉盛りはごく短時間のため,合成に必要な温度に達しない可能性がある.そこで,基板条件およびレーザ加工条件を明らかにすることで,肉盛り層中でのTiB2の生成および分散を試みた.


後藤「Cr-Mo-V系工具鋼の2相域加熱後の短時間焼戻しによるナノ炭化物析出」

古くから積層造形に相当する肉盛り技術が金型や工具に使われているが,近年ではレーザーによる溶融積層造形が適用され始めている.積層造形では,積層高さに応じて焼入れから焼戻しに相当する熱影響を繰り返し受けるため,組織と硬さが複雑に変化する.この累積する熱影響を実験で再現すると,Cr-V-Mo系工具鋼であるLCSは,同じ熱影響を受けたSKD61よりも高硬度を示した(1).これは,オーステナイト+フェライト(γ+α)2相域への加熱が影響していると考えられる.そのため本研究では, (γ+α)2相域中でγ量が25,50,75%となるように系統的に変化させて加熱・冷却した組織の観察・解析により,LCSの優れた焼戻し軟化抵抗の要因を解明する.


濱地「Cr-Mo-V系工具鋼の急速加熱過程における準安定炭化物の析出・固溶の解析」

工具鋼の焼入焼戻しは,所定温度で長時間保持をするなど時間をかけて行われる.既存研究において,Cr-V-Mo系工具鋼(LCS)を735~830℃のγ+α2相温度域まで急加熱しMs点を測定すると,通常のγ単相組織のMs点より高温側へシフトする結果が報告された.これは2相域でγ中の固溶C量が高い(Ms点は低下)ことからは説明できない.そこで本研究では,急速加熱中の炭化物挙動がγ中のC量を低下させていると考え,2相域への急加熱中における炭化物に着目し, Ms点の変化におよぼす影響を調査した.


島田「軸受鋼SUJ2の加熱にともなう炭化物固溶速度の計測と数値解析」

高炭素高クロム鋼であるSUJ2はベアリングに広く用いられる.その製造には,一般に球状化焼なましを経て,炭化物粒子(M3C)とマルテンサイト(α')の複合組織を得る熱処理を施す.この時,オーステナイト(γ)相に固溶するC濃度を調整するため,固溶するM3C粒子の体積率と粒径を厳密に制御する必要がある.またM3Cの固溶はCrの拡散で律速されるため,急速加熱ではAcm線より高温にシフトすることがあり,固溶速度の定式化は困難である.そこで本研究では,急加熱条件下での熱膨張曲線の詳細な解析により,M3Cの固溶挙動を計算予測する手法の構築を目的とした.


青木・加登谷・野坂「電磁気特性の部分改質を目指したCu-酸化物混合物のレーザ溶浸」

近年,電気自動車(EV)用モータの高出力化にともない,ロータ内部の漏れ磁束による効率低下が大きな課題となっている.この抑止には磁気回路の特定部位を非磁性・高抵抗化する部分改質が有効である.本研究では,電磁気ユニットのコア材料として一般的なケイ素鉄を基材とし,非磁性材料であるCuと金属酸化物の混合2液相を局所加熱により隙間に溶浸させる手法に着目した.本手法により,Cuの高い非磁性を損なうことなく,ケイ素鉄との界面において酸化物層を形成する新たな部分改質プロセスを目的とした.