大同大学

『月刊なごや』2004年11月号より

去る6月21日に単独で高度100kmに達したマイク・メルビルは62歳のロケット野郎である。9月29日に再度の挑戦が行われた。2週間以内に同じ機体が再度100km飛行に成功すると賞金1,000万ドル（約11億円）が獲得できる。パイロットの交代はOK。
高度1万5千ｍで母機から切り離された奇妙な形をした翼付きのスペースシップワンのエンジンに点火、上昇直後に機体は回転を始めた。メルビルは巧みにローリングを抑え、103kmに達したところで、Ｕターン、地上に無事帰還した。
2週間以内の再飛行は10歳年下のブライアン・ビニーによる挑戦であった。彼はトラブルもなく112kmまで到達して、無事帰還した。スペースシップワンをつくったスケールド・コンポジット社は賞金1,000万ドルの獲得に成功した。
この飛行までに、10億円以上がかかったはずである。スポンサーはビル・ゲイツとともに、マイクロソフト社をおこしたシアトル出身のポール・アレンである。私が8月下旬にシアトルのワシントン大学を訪れた時、アレンが寄付したというコンピュータ学部のしゃれた建物に案内され、彼がさまざまのベンチャービジネスに投資していることを知った。
飛行の成功によって、イギリスのバージン航空グループが2007年の初飛行を目指す旅客用宇宙機の製作をこの企業に注文した。料金2,300万円で数時間の宇宙飛行が体験できる計画である。このニュースを知った東京の新聞社から私に電話があり、その実現性について質問した。
「100回に1回の事故を覚悟するなら、3年後に実現すると思うが、1,000回に1回なら10年はかかると思う」と私は答えた。それでもあなたは乗ってみたいですか。もちろん乗りたいが、私が払えるのは300万円が限度である。

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