大同大学

『月刊なごや』2004年8月号より

マイク・メルビル、62歳、去る6月21日に単独で高度100kmに達し、帰還した男である。スペースシップワン（Space Ship One）と名付けられたロケットには翼がついており、約3分間の無重力飛行の後、大気圏に突入後、滑空してアメリカ・カリフォルニア州のモハーベ砂漠の飛行場に着陸した。
高度100km以上を宇宙と定義し、3人乗りのロケットを2週間以内に2度宇宙飛行させて無事に地上に帰還する。成功したグループには11億円の賞金がかけられている。これに挑戦しているのがスケールド・コンポジット社である。
この会社の会長バート・ルタン氏（61歳）は投資家から22億円の資金を得て、宇宙旅行ロケットを完成させた。固体燃料を液体の酸化剤で燃焼させて飛ぶ、低コストのロケットを開発した。徹底した節約を行って開発された翼付きロケットがスペースシップワンである。
6月21日のテスト飛行は高度14kmまで、ジェット機で運び、高空で打上げられた。操縦はすべてパイロットが手動で行う。小さなトラブルが発生して、目標の高度に届かなかったが、100kmは見事クリアした。
アメリカには凄い男たちがいるものだと心から敬意を表したい。同時に、このテスト飛行を許可したアメリカ航空局の度量も大したものである。
70歳で宇宙飛行を目指す私としては、むしろこのような冒険飛行をしてみたいものだ。もちろん、事故については自己責任であるから、何が起きても家族、友人に事故現場に来て欲しくない。もちろん保険会社も相手にしてくれないだろう。この日、62歳のマイク・メルビル氏もそう云って自宅を出たはずである。

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