3月28日、宇宙開発事業団(NASDA)はH-2Aロケット5号機で2個の情報収集衛星を打上げた。情報収集衛星は高度数百kmから地表を撮影して映像を送ってくることができる。
最近では映像の分解能が向上し、アメリカの軍事衛星は15cm、自動車のナンバープレートを読みとることができる。
アメリカ航空宇宙局(NASA)が打上げ、データを公開している衛星がLANDSATである。分解能は50cmである。LANDSATが撮影したサンフランシスコの写真を示す。
北朝鮮はミサイル発射実験を行っている。日本との距離が近いだけに、我が国にとって深刻な脅威になっている。これらの情報のほとんどはアメリカからもらっているのでは、余りにも情けない。せめて、独自の情報を入手したい。合法的な上空からの写真撮影によって監視したい。
監視衛星の性能、どこを飛行するかは秘密にされている。NASDAの職員である私にも分からない。映像の分解能は公開されているLANDSAT以下であることが知られており、それほど大きな成果は期待できない。しかし、我が国が第1歩を踏み出したという歴史的意味は大きい。
監視衛星は北極と南極上空を通過する軌道を1日に16周する。地球が自転しているので、万遍なく地表を観測できることになる。希望の時間に狙った場所を撮影するためには、沢山の衛星を上げなければならない。
事実、上空にはアメリカやロシアの監視衛星が常時数十個飛行しているはずであるが、詳細は分からない。衛星の寿命は数年間であるので、今までにアメリカは約1,000個、ソ連・ロシアは約2,000個の監視衛星を打上げたと推定されている。我が国はさらに2個の衛星を上げて、合計4個の衛星で監視を行う計画であるが、この段階ではまだまだ練習のレベルである。
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