大同大学

『月刊なごや』2003年4月号より

上空400kmに建設中の国際宇宙ステーションで3人の宇宙飛行士が働いている。アメリカ人2名とロシア人1名からなる第6次宇宙ステーション建設チームである。2000年10月31日に最初のチームが打上げられて以来、約5ヶ月ごとに交代して、建設作業が続いている。
現在の第6次チームが打上げられたのは、昨年11月23日、帰還は4月下旬にスペースシャトルで行う計画であった。2月1日にコロンビア号空中分解事故が起こったために、NASAは当分スペースシャトルの運行を中止することを決めた。そのために、NASAは宇宙飛行士の交代ができなくなった。
NASAはロシアに有人ロケット・ソユーズで第7次交代要員を送ることを要請した。第6次の3人はソユーズカプセルで帰還する訳である。
準備の都合でどんなに急いでも、ソユーズは5月まで打上げが困難である。食料や器材の輸送はロシアの貨物運搬ロケットプログレスで行うことになっているが、年間3機程度の打上げが限界である。ソ連崩壊後、ロケット技術者が分散、施設は老朽化しており、そう簡単には間に合わない。
さしあたっての問題は水の補給である。スペースシャトルは多量の水が輸送できるだけではなく、燃料電池の副産物として水の製造ができる。プログレスでは十分な物資を輸送することができないので、シャトルの打上げ再開まで、宇宙飛行士2人体制でほそぼそと宇宙ステーションを維持しなければならない。
国際宇宙ステーション滞在中の宇宙飛行士はどんな気持ちでコロンビア号の悲報を聞いたのであろうか。彼らの毎日のスケジュールを見ると結構忙しい日々を送っている。感傷的な気持ちになれるほどの時間の余裕はない。しかし、不安な日々であることには違いない。

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