アデオス2が飛んでいる。アデオス2は12月14日、宇宙開発事業団(NASDA)のH-2A 4号機ロケットで打上げられた大型の人工衛星の名前である。ADEOS−2、環境観測技術衛星2号機の略称である。
アデオス?どこかで聞いたことがあると思いませんか?そうです。スペイン語のアディオス(ADIOS)とそっくりなのです。ADIOSの意味はさようなら。人工衛星の名前が、さようならでは困るという意見があったが、映画に良く出てくる単語であり、憶えやすいからという訳で、アデオスが採用された次第であった。
アデオス2は我が国最大の人工衛星である。4×4×6mの本体に、長さ24mの一枚羽根の太陽電池を広げて地球を周回している。重さは3.7トン。気象変動研究に威力を発揮するはずだ。
アデオスは金色に輝いている。ポリイミドという熱に強い黄色のプラスチックフィルム表面に、薄いアルミをメッキしたため下地が透けて金色に見えるのだ。
宇宙空間では、太陽の光に当たる部分が100℃以上、日陰が零下100℃以下と、極端な温度差ができてしまう。人工衛星を金色のブランケットで覆って、急激な温度変化を避ける訳だ。
12月14日、私はNASDA名古屋事務所で、H-2A 4号機ロケットの打上げ中継を見ていた。中部圏には、H-2Aの主契約企業である三菱重工はじめ、ロケット製造に携わっている多くの企業が集中している。関係者も中継映像を見守っていた。
秒読みが進み、予定通り10時31分、ブスターロケットに点火、6分43秒後に1段ロケットの切り離し、16分後に2段ロケット燃焼終了、アデオス切り離し、高度は800km、信号は全て正常、拍手、握手、私にとって幸せな一時であった。
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