宇宙食の試食会が開かれた。場所は建設中の国際宇宙ステーションである。ドッキングしたスペースシャトルの乗組員と宇宙ステーション滞在中の飛行士が宇宙食の試食会を開いたのだ。
スペースシャトルは、長くて2週間の運航であるが、宇宙ステーションとなると6ヶ月も宇宙に滞在することになる。長くなればなるほど、楽しみは食べることになる。
月に人を送った1970年頃のアポロ計画の宇宙食は、乾燥食品にお湯を加えて、半流動食にしたものが主流であった。一日580グラムで2800キロカロリーという高カロリー食であった。月への飛行は、生死を賭けたものであり、味は二の次であった。
スペースシャトルの初飛行は1981年であり、20年以上が経過した。初期のころはそれほど話題にならなかった宇宙食であったが、最近では味や色、香りにうるさくなり、グルメの時代の到来である。
国際宇宙ステーションでレトルト食品の試食が行われた。スーパーで売られている普通の食品が持ちこまれた。宇宙ステーションには食品保存用冷蔵庫や調理用電子レンジはないが、加熱用のオーブンがある。
各国の食品が試食された。メーカーの名前は秘密にされている。宣伝に利用されるからである。こっそり聞いたところでは、一番人気は日本のカレーであったという。
毛利さんの10年前の初飛行の時、彼はカレーをリクエストした。液体が宇宙船の中に飛び散ると、ふわふわと浮遊して電気部品に付着すると危険なので、粘着力があることが必要である。カレーの粘りは手頃である。ただし、ご飯には少々難があった。飛行士が袋からご飯を押し出し、カレーをスプーンで付けて食べる様子をビデオで見た。うまそうには感じられなかったが、宇宙飛行士には好評であったという。
宇宙の無重力状態では、飛行士の味覚が鈍感になり、辛いものが好まれることも、カレー好評の理由かも知れない。小学校の給食調査では、カレーライスがダントツ人気であるという。これほど、人気があるカレーライスなのだから、皿のご飯の上にカレーを盛りつけた宇宙カレーができたら、人気は一層高まること間違いなしである。
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