大同大学

『月刊なごや』2002年11月号より

後にロケットの父と呼ばれるドイツ人、Ｗ.フォン・ブラウンは、宇宙ロケットをつくることを夢見る少年であった。17歳で宇宙旅行協会の会員として活動を開始している。20歳で陸軍のロケット研究所に入り、22歳で博士号を取った天才である。
第2次世界大戦後、33歳のフォン・ブラウンと彼のチームがアメリカへ連行され、米陸軍のミサイル開発チームに編入された。その後、NASAができるまでの15年間、彼はアメリカ陸軍で働いたことになる。
1957年、ソ連は世界初の重量84ｋｇの人工衛星スプートニクの打上げに成功した。驚いたアメリカは、直ちに空軍、続いて海軍のロケットで人工衛星を打上げたが失敗であった。最後の切り札は陸軍の4段式ロケット、ジュノーであった。
1958年1月、アメリカ最初の14ｋｇの人工衛星エクスプローラが、ジュノーによって打上げられた。陸海空軍が別々にロケット開発をする限り、ソ連に追いつけないことを悟り、アメリカはNASAを誕生させた。しかし、その後の世界最初の宇宙飛行士誕生もソ連に先を越され、アメリカはいつも後追いであった。
1961年、ケネディ大統領は、60年代にアメリカは人類を月に送ることを宣言して、世界をあっと言わせた。アポロ計画の始まりであった。決め手はフォン・ブラウンが設計した巨大なサターンロケットであった。
1969年、アポロ11号による月面着陸成功、アメリカは一挙にソ連を追い抜くことになった。世界のロケットの父、フォン・ブラウンはスペースシャトルの打上げを見ることなく、1977年、65歳でこの世を去った。

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