大同大学

『月刊なごや』2002年7月号より

2月に開催されたソルトレークシティオリンピックの開会式では、8人の旗手が5輪旗を掲げて入場した。旗手の顔ぶれはジャンプの船木和喜選手はじめ話題の人ばかりであった。何と言っても、80歳のJ.グレンさんはひときわ注目を集めた。シリーズ7にグレンさんのことを書いた。彼への想いを新たにもう一度書こう。
グレンさんが初めて宇宙飛行をしたのは、1962年、彼が40歳の時のことであった。アメリカ人最初の宇宙飛行士はA.シェパード、彼は15分間の弾道飛行を行った。地球周回が本当の宇宙飛行であるならば、その最初の飛行士がJ.グレンさんである。
当時の宇宙飛行士は、死をもかえりみない勇士であった。グレンさんは海兵隊のパイロットとして、太平洋戦争と朝鮮戦争に参加した。その後、テストパイロットの訓練を受け、59年に宇宙飛行士に選ばれた。グレンさんはアトラスロケットで打上げられ、4時間55分間の地球周回飛行の後、回収カプセル・フレンドシップ7で海上に着水した。
彼はNASAを引退後、上院議員として政治活動に没頭した。しかし、宇宙への想いは断ちがたく、スペースシャトルに乗りたいと、何度もクリントン大統領に手紙を送った。「私を高齢者の医学研究に使ってくれ」とも書いた。
遂に彼の夢がかなって1998年にスペースシャトル・コロンビア号で飛行をした。この飛行には向井千秋さんが同乗しており、医師でもある彼女はグレンさんの体調に気を配ったが、その必要がないほど元気で9日間の飛行を終えて帰還した。彼はこの7月18日に81歳になる。
　 私が最も尊敬する人物である。

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