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”月へ”と聞くと、多くの人はNASA（米国航空宇宙局）のアポロ計画を思い浮かべるであろう。1961年、当時のアメリカ大統領 J.F.ケネディは、60年代に月に人を送り、無事帰還させるアポロ計画を宣言した。誰もが無謀な宣言であると思った。当時、ソ連との宇宙開発競争でアメリカは負け続けであった。アメリカがソ連を抜くにはそれしかなかった。ギリギリの選択でもあった。
1969年7月、NASAは見事にやり遂げた。それから、72年までに6機の月着陸船によって12人の宇宙飛行士が月面活動を行った。それ以来33年間、人類は月を訪れていない。
月に人を送ることを決心すれば、アメリカは5年程度の時間と1兆円以下の予算で実現できるはずだ。しかし、ソ連という競争相手をなくしたアメリカにとって、そんな大金を投じる根拠がないのも事実である。
古代から日本人は、想像の世界で月を楽しんできた。竹取物語もその一つである。ごつごつした月面への人類の着陸は、日本人のロマンをぶち壊す出来事でもあった。
地球の親戚である月の内部がどうなっているのか、宇宙科学研究所は無人の月探査機母船から、観測機械を月面に打込むルナ計画を準備している。月面に向かって高速で突入する槍状のカプセルの開発は難航を続けている。衝突のショックで内部の精密機器が壊れることが最大の難関であった。やっと、最近、丈夫なものが完成した。ルナAが2年以内に宇宙科学研究所のM-5ロケットで打上げられる予定である。
NASDAと宇宙科学研究所は合同で月面に無人天体観測施設を建設する研究を開始した。この2つの組織は2003年には統合されるので、月面天体観測計画は加速されるであろう。さあ、その次は日本の手で月面天文台に日本人を送るのだ。
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