NASA(米国航空宇宙局)には必要な期間だけ宇宙飛行士の訓練を受け、飛行が終わると元の職場に帰る飛行士がいる。
ラリー・デルーカス・アラバマ大学教授は1992年に42歳でスペースシャトル宇宙飛行をした後、大学にもどって研究を続けている。デルーカス教授の履歴書をみると大学も大学院もすべてアラバマ大学、その後もアラバマ大学で働いている。彼自身、この大学と大学のある町バーミントンが大好きだと言っている。
彼は大学のタンパク質結晶研究センターの副所長としてNASA宇宙飛行士に応募し、スペースシャトルで自分の実験を行った後、センター長として働いている。
ラリーは日本も大好きで、口実を見つけてよく日本へくる。宇宙実験の会議が東京の永田町で開かれた時、彼をカラオケに誘った。英語の曲は少なかったので選択の余地はなかった。しかし、彼は店にある曲のほとんどを歌うことができた。しかも、プロが真っ青になるほどの上手さであった。
アメリカの宇宙飛行士が歌っていると聞いて、店のママも、客達もサインをもらいに集まってきた。宇宙飛行士はいつでもブロマイドをもっている。写真にさらさらとサインをする。あちらこちらから、差し入れのドリンクがやってくる。まるで芸能人だ。
東南アジアから働きに来ているという女性が、サインをもらいにきた。日本語も英語も不十分であり、宇宙飛行士もアストロノートの意味も分からなかったらしい。
宇宙服を着たブロマイドの写真をみて、どうしてこのシンガー(歌手)はこんな変な服を着ているのかと聞いた。本当に有名歌手と思ったらしい。後日、デルーカス教授がこの話を自慢して吹聴しているという噂をアメリカで聞いた。
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