毛利衛さんの講演会が名古屋市公会堂で行われた。ひさしぶりに毛利さんと一緒にいて、いつもの気配りに感心させられた。
彼はパーティではほとんど食べ物を口にしない。せいぜい1〜2杯のビールを飲む程度で、できるだけ多くの人と話をしようとする姿勢に感心する。
ある時、家内が毛利夫人の彰子さんに、彼はパーティの夜はいつ食事するかを聞いた。なるべくパーティの前にサンドイッチ程度のものを口にする程度で、その後で軽く食べることはあっても、パーティではほとんど食べたことがないでしょうとの答えであった。
同伴でのパーティ出席の場合、彰子さんも殆ど召し上がらない。
1999年2月にヒューストンの毛利さんのお宅に娘とともに泊めて頂いた。彼の予定が変更になりカリフォルニアからの帰宅が午後10時頃になってしまった。
彰子さんは宇宙開発事業団の新しい事務所のお披露目パーティの手伝いで手が離せない。おまけに彼はヒューストン空港に置いた自動車の鍵をホテルに忘れたため、私はパーティ会場から飛行場へスペアキーを届けるはめになってしまった。
一足早く自宅に着いた彼は彰子さんが息子のために作ったお握りをおいしそうに台所で食べた。図らずも飛行士の裏舞台を見ることができた。
「NASAの宇宙飛行士の重要な仕事は多くのパーティに出席して、サービスすることです。そのためのマナーについても訓練されています。妻も夫が少しでも多くの飛行機会を得るために、最大の努力をしています」
彰子夫人の言葉である。
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