超音波を用いた軟弱地盤の締固め

 


このページでは、軟弱地盤を締固めるために超音波を用いた工法を提案しています。そこで、これから書かれている内容を理解してもらうために、簡単な説明をしたいと思います。


目次


超音波って何?

みなさんは超音波と聞いてなにを想像しますか?この世の中には超音波を使った様々な物があります。たとえば、医療の分野では胆石の破壊・超音波ソナーによる体内の検診、食料の分野ではマヨネーズの生産・酒の醸造、工業の分野ではメッキ・溶接・非破壊検査など挙げていったら限がありません。

超音波とは、音波の一種で周波数が20kHz(20000波長)以上で音として耳に聞こえない音波と一般的に定義されています。また、指向性が強く強度が大きいため、水中に超音波を照射するとキャビテーション現象と呼ばれる独特の現象が生じます。この現象を利用して様々な分野で超音波が用いられており、また軟弱地盤も締固めることができると私たちは考えています。

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なぜ超音波を使うの?

現在行なわれている軟弱地盤締固めをみなさんは実際に見たことはありますか?見たことがある方は、そのうなるような騒音お腹にひびく振動、そして施工する重機の大きさにビックリされたのではないでしょうか。このようなことでは、民家のあるような場所や柔らかい地盤では施工が困難です。締固めを行う媒体(振動機)として人の可聴音域(人が耳で聞くことができる音域)より高い超音波を使うと、無振動・無騒音で施工ができるというメリットがあります。現在、周辺の環境にやさしい工法として開発中です。

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実験内容

超音波を使い、実際に実験を行いました。今回は超音波の影響距離影響深度を確認するために、2種類行いました。これから書かれていることは、その実験内容と結果です。

・超音波を用いた水槽実験

図のような水槽を使って影響距離の確認実験をしました。供試体として豊浦標準砂を使い、水を入れた水槽の中にふるいなどを使ってあらかじめ決めた高さまでゆっくりと標準砂を入れていきました。このときの相対密度は30〜50%ぐらいで、液状化が比較的生じやすい値といわれています。そして超音波を図のように横から当てて砂の表面がどこまで沈下するかを計測しました。

結果は、超音波発振子から40cmの場所で0.5cm〜1.5cmくらい沈下しました。また、超音波発振子から1mくらいのところまで僅かですが沈下していました。沈下量に幅がある理由は、水槽の中に標準砂を入れるとき人がふるいを使っていれるので、どうしても均一にならないためです。

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・拘束圧条件下による超音波締固めの効果

水槽を使った実験では限られた範囲に人がふるいを使って標準砂をいれるので、実際の地盤とは状態が異なってきます。そこで超音波発振子を取付けた三軸室を用いて拘束圧条件下での超音波締固めの効果を確認する実験を行いました。拘束圧は2.0kgf/cm2と3.0kgf/cm2、超音波発振子は23kHz・70Wの条件で実験を行いました。

その結果、相対密度がはじめの値からおおよそ40%増加しました。この結果から、地下10mを超えるような場所でも超音波を用いた締固めは可能であることが分かりました。

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まとめ

今回は、超音波を用いた軟弱地盤地盤の締固めの基礎的な研究を行いました。

現在この結果を基に、実用機の開発を行っています。今後は更なる研究を行い、新工法として確立させることが必要だと考えられます。

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進行中のプロジェクト

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感想や意見nogami.jpg (15541 バイト)

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野上 周嗣

電話(大同工業大学 白水校舎)
052-612-5571

 

 

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最終更新日 : 1999/03/01.