超音波を利用したコンクリートの締固め
Compaction Of Concrete Using Ultra Sonic Waves
◆コンクリートとは?
コンクリートとはセメントと水と砂および砂利あるいは砕石とを適当な割合に配合し、練り混ぜて硬化させたもののことである。コンクリートは土木材料のうちで最も重要なものであり、道路舗装、橋、河川の護岸施設、ダム、港湾施設、鉄道施設など土木のいずれの部門にもコンクリートは大きな役割を果たしている。
利点 欠点
1, 任意の形状、寸法の構造物を構築できる。 1, 自重が大きい。
2, 材料の運搬が容易である。 2, 収縮によりひびわれがおきやすい。
3, 耐久的、耐火的に優れている。 3, 破壊が困難である。
4, 維持費がほとんど必要ではない。 4, 施工が設計通りに行われにくい。
◆締固めとはどういうこと?
コンクリートを型枠などに打ち込んだ後、振動をかけたり突くことにより、鉄筋の周囲や型枠の隅々に行き渡るようにする作業のことである。また、振動や突くことでコンクリートを流動化させ、打ち込み時に混入した気泡を追い出すことも行う。
◆研究内容
コンクリートの締固めは、用途に合わせ、各種の振動機が用いられ、今では締固め不要の高流動コンクリートも多くの現場で使用されている。現在、振動バイブレーターによる締固めは、バイブレーターをかける時間や間隔など所要のテクニックが必要だったり、あるいはコンクリートフィニッシャなどの機械による締固めは振動や騒音を伴ったりするという問題がある。 一方、超音波は現行の振動機の振動数や加速度を遙かに越え、しかも無振動、無騒音である。この超音波を利用した研究を本研究室では、数多く行ってきており、超音波の有効性をふまえて、その特徴を生かしたコンクリートの締固め工法の研究開発を目的としている。また、超音波締固めのメカニズムは明確でなく、その解明をすると共に超音波照射によりコンクリートの工学的性質にどのような影響を及ぼすかを調査、研究している。
◆超音波を使用するメリット
1,締固めの効果があがる。
2,床版上面増厚工法において新旧コンクリートの付着力があがる。
3,騒音、振動の心配がない。
4,締固めに特別な技術を必要としない。
5, エネルギー効率がよく、経済的である。
◆超音波がコンクリートを締固める理論
超音波を利用したコンクリートの締固めは超音波が液中に引き起こすキャビテーション現象であると考えられている。これは超音波洗浄機のメカニズムに近いものであり、そのキャビテーション現象によって伴う衝撃波でコンクリート内の空隙直接的に働き、浮力を発生させる。気体性キャビテーションはその脱気作用により超音波の減衰を少なくすると共に骨材表面の微少付着気泡の剥離も行い、超音波の巨大な加速度もまた、その剥離を促す。そして、超音波の直進流により、ミクロ的攪拌を行こし流動化させ、気体、液体ともに除去する。まだ、超音波のコンクリート締固めのメカニズムの理論は確立していない段階であるけれども、超音波照射による他の作用など調査すべきはあり、これからその理論を確立すべく研究を続ける方針である。
ご意見、質問等
米村 健