超音波を利用した土粒子に密度測定

 

1 実験概要

土とは水、空気、土粒子の三つからなっています。土の密度を測定する場合、この中に含まれている水と空気を取り除いて土粒子だけにする必要があります。その中で空気を取り除く(脱気作業)方法を従来の方法(煮沸)ではなく他の方法(超音波を利用する)に替えることです。
 

2 目的

従来の煮沸法に代わって、超音波を利用してどの程度脱気するかを調べて、試験を簡素化することを目的としています。
 

3 土粒子とは?

土粒子とは、土の粒子であり、土の成分です。
 

4 煮沸による脱気と超音波による脱気について

従来の煮沸法は、土の中にある空気が熱によって膨張し土粒子の結合が壊れ脱気すると考えられます。しかしこの方法は試験中突沸のために土粒子がピクノメータからこぼれてしまったり、粘性土やシラスなどのものは何時間もかかり、また冷却する時間も長時間かかってしまいます。
しかし超音波は熱エネルギーを利用するのではなく音の放射圧を利用するので冷却などの時間が不必要で、また超音波が持っている性質の一つであるキャビテーション現象を利用して土粒子の結合を分散させて空気を効率よくを土の外へ出すことができます。
 

5 キャビテーション現象

超音波の性質の一つで水中に超音波を照射するとキャビテーション(空洞)現象が起ります。これは、例えば20kHzならば1秒間に20000回の波を起こすのですが、この激しさにより媒質が引きち切られ真空の部分があちらこちらにできます。このことにより水中では数百気圧から数千気圧になるといわれています。
 

6 超音波を利用することによるメリット

煮沸法の場合、沸騰させてから脱気効果が現れますが、超音波を利用する場合は超音波を照射した直後から効果が現れます。また、煮沸法の場合、脱気終了後室温程度に冷まさなければならないのですが超音波を利用する場合は煮沸法のときほど水温が上がりません(照射前と比べて数度〜十数度程度しか上がりません)。つまり沸騰するまでの時間と冷ます時間を短縮できることになります。また、煮沸の場合、容器の中身が飛び散ることがしばしばあります。でも超音波を利用した場合は、そのようなことはありませんでした。もちろん、やけどの心配もありません。
 

7 結果と考察

今回の実験に使用した試料は、ごく一般の土です。煮沸時の値と超音波照射時とを比較すると、超音波照射時の値は煮沸時の値にかなり近い値を記録することができたのですが、今一歩脱気が足りないためか煮沸時の値より超音波照射時の値が小さいです。そこの部分にあとひと工夫があると思います。
 

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大同工業大学大学院 工学研究科 建設工学専攻  河津 貴

d98bm07@fs02.daido-it.ac.jp

 

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