大同大学

『月刊なごや』2005年3月号より

密かに私が宇宙飛行士になりたいと考え始めたのは1983年12月のことである。当時、私は非常勤嘱託として、週に1日、東京の宇宙開発事業団（NASDA）本社に勤務していた。第1回宇宙飛行士募集締め切りの12月27日が近づいてきたが、応募者は少なく、目標の100人を割りそうな状態であった。
困った募集責任者は私に応募しないかといってきた。迷った末、腹をくくって、書類の準備を始めたところ、急に沢山の応募があり、「もう応募の必要はない」と冷たい連絡があった。腹が立ったが、仕方ないと忘れることにした。
1986年1月、スペースシャトル・チャレンジャー号が爆発して7人の宇宙飛行士が亡くなった。当時、毛利、内藤（現在、向井）、土井の3飛行士候補者が訓練を始めていたが、シャトルの事故で先の見通しが立たなくなり、しばらく、日本で勉強を続けることになった。
4月から、木曜日は私がチューターとして3人と英語でゼミをやることになった。それから12月まで、9ケ月間、3人の宇宙飛行士候補者と過ごしながら、だんだん私自身の気持ちが高まってきた。もう、宇宙への燃え上がった気持ちは消えることはなかった。その時、私は47才、年をとってかかった麻疹は重症である。それ以来、私は重い宇宙病にかかってしまった。
1995年、アメリカの宇宙飛行士ジョン・グレンさんは1995年に77歳で宇宙飛行をした。向井千秋さんの第2回飛行の時である。私は現在66歳、ジョンに比べるとまだ11歳も若い。チャンスは必ずあると信じている。

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