大同大学

『月刊なごや』2005年2月号より

日本の本命ロケットはH-2Aである。H-2ロケットは純国産の大型ロケットである。世界最高水準の性能を誇っているが、製造コストが高いことが欠点である。価格を一気に40％も低くすることを目標に完成したのがH-2Aである。Aを付けたのは改良型という意味である。
H-2Aは5回続けて打上げに成功したが、一昨年11月29日に打上げた6号機が失敗した。我が国の3宇宙航空機関が統合して、新しい宇宙航空研究開発機構（JAXA）が10月に誕生したばかりの時であり、しかも、北朝鮮ミサイル基地を監視する衛星を搭載していたので、関係者の受けたショックは相当なものであった。
10月15日に中国が有人宇宙飛行に成功した直後のことであったので、日本の宇宙技術は一体どうなっているか危ぶむ声を色々なところで聞くようになった。一方、JAXAは非難に耐えながらH-2Aの信頼性を高めるための血の出るような努力を続けてきた。6号機トラブル原因の固体燃料補助ロケットだけでなく、H-2A本体の全面的な点検と改良が行われた。
2月には14ケ月ぶりにH-2Aの7号機が打上げられる。中国は今年秋に2人目の宇宙飛行士を打上げる予定である。H-2Aは中国のロケットより遙かに高性能のロケットである。しかし、構造が複雑でコストが高いことが泣きどころである。打上げを繰り返し、弱点を見つけ、改良を重ねて大丈夫というところまで行ったら、日本人を日本のロケットで打上げることになるだろう。
安全には絶対という言葉はない。飛行士を乗せる判断基準もあいまいなものだ。しかし、多少の不安があっても、私は日本人最年長飛行士候補としていつでも乗り込む心構えはできている。まずは7号機の成功を祈ることにしよう。

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