大同大学

『月刊なごや』2003年8月号より

2人の宇宙飛行士が滞在する国際宇宙ステーション（ISS）が上空400kmを飛行中である。90分で地球を一周している。本来は3人搭乗して、建造を続けるはずであったが、事故でスペースシャトル運行中止のため、水や工事資材が不足している。2人で現状維持が精一杯である。
ISS計画はアメリカ・レーガン大統領の提唱で1984年に始まったものである。完成の目標は1992年、コロンブスがアメリカ大陸に到着してから500年の記念行事として計画された。日本、ヨーロッパ、カナダへ参加の呼びかけが行われた。
レーガン大統領の呼びかけに、わが国は約10％の経費を負担して、宇宙実験室を建造することになった。打上げはスペースシャトルを利用して行う。アメリカの狙いは当時のソ連に対抗して、西側の結束を誇示することであった。
80年代後半から90年代にかけて、アメリカは財政難で苦しんでおり、ISS建造の準備は遅れ気味であった。91年にソ連が崩壊したため、ISS計画の政治的意味はガラリと変ってしまった。なんと、クリントン大統領はISS計画にロシアを参加させたのだ。
実際の資材打上げは1998年に開始された。しかし、NASAは財政難であり、計画は遅れる一方であった。完成予定は2006年とされ、もう遅れることはないと思っていたら、2003年のスペースシャトル・コロンビア号空中分解事故によってISS計画は更に2〜3年遅れることになった。
日本が担当する宇宙実験室の国際宇宙ステーションへの取付けは、2008年頃になりそうである。私がISS利用計画立案チームに参加したのが1985年であった。例え、もう5年かかっても待つ覚悟はできている。すでに、18年待ったのだから、あと5年待てないはずはない。

国際宇宙ステーションに取り付けられる日本の実験室JEM、愛称は「きぼう」の想像図（NASDA提供）

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