特殊な6次魔方陣

・内包魔方陣
 内包魔方陣とは、全体が魔方陣であって、さらに内部に縦横対角線の和が等しい正方形の領域を持つものです。次数が増えて6次ともなると、いろいろな内包魔方陣ができます。いろいろなパターンがありますが、単純で美しいものから紹介します。

6-4魔方陣
 6次魔方陣の中央に4次の方陣が入っているものです。この解は7,736,347,893,760通り(約8兆)あります。そんなに沢山を数えるのはさぞかし大変だと思うかもしれませんが、計算は意外と単純です。
 まず条件をよく調べると内側の4方陣の定和は74に決まってしまいます。また、内側の4方陣と外枠(図の緑の部分)はお互いに干渉しないので、それぞれの個数を計算して掛ければいいのです。さらに4方陣は回転、裏返しが可能ですし、外枠は2〜4行、2〜4列を任意の順に入れ替えることができます。それらを考えると計算量は相当減らすことができます。
[この数は91年度の卒研で大橋聖君と若林道生君が確認してくれました.]


6-4-4魔方陣
 6次魔方陣の中に4方陣がふたつ入っているものです。この解は1,010,688通りあります。6次の中に4次がふたつのパターンはこの形だけです。





6-4-3魔方陣
 6次魔方陣の中に4方陣と3方陣が入っているもので、下の図のような3つのパターンがあります。
  T型は1120通り
  U型は12通り
  V型は608通り
見つかりました。



・完全魔方陣
 6次の完全魔方陣は存在しません。

 証明は簡単です。ある6次魔方陣が完全魔方陣だったと仮定すると、不合理なことが起こることを証明します。いわゆる背理法ですね。
 右の図が完全魔方陣だと仮定すると、行、列、汎対角線の和は111(定和)です。ここで
  [黄]+[赤]= 333   ∵ 3行の和
  [黄]+[青]= 333   ∵ 3本の汎対角線の和
  [赤]+[青]= 333   ∵ 3列の和
辺々を加えると
 2([黄]+[赤]+[青])= 999
ここで、左辺は偶数。でも右辺の999は奇数。したがって仮定が間違い。つまり、6次完全魔方陣は存在しないということになります。
 同様にして、10次、14次、18次、… (4n+2)次の場合に完全魔方陣が存在しないことが証明できます。


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大同大学 情報学部 情報システム学科 大石研究室