Q and  A 

質問 22   (2.2008)

蒸気と湯気のちがいは?
 

回答

 この質問は単純なものように聞こえるかもしれませんが、たいへん奥深いです。
複雑でもあります。

まず、用語(日本語と英語)と、とりあつかう対象の整理をしましょう。

すべての物質に対して:
気体  gas
蒸気    vapor

とくにHO(水)に対して:
気体  gas
蒸気  vapor,  steam(高温)
湯気  vapor,  (steam)

上の表からわかることを確認すると、

〇 「湯気」は水に特化された用語。
〇 蒸気、湯気には、vaporとsteamという英語が対応する。
〇 一般的に使う用語と専門用語が、ごちゃまぜになって複雑になっているようだ。

ややこしいですね。

どのような物質(純粋なもの)も、温度と圧力の条件を選べば気体となります。専門用語としては、蒸気(vapor)は基本的には気体と同じですが、同じ物質の液体あるいは固体と共存している気体に対して使います。蒸気(vapor)は低温でもありえます。

スチーム(steam)は沸騰している水から激しい勢いで出ている蒸気のことを言うことが普通です。この勢いを利用したのが蒸気機関であり蒸気機関車(=SL, steam locomotive)なわけです。ステームは蒸気(vapor)の特殊な状態と考えればよい。

湯気は気体ではありません。もやもやしたものとして目に見えますね。状態としては液体です。微細な水滴です。靄、霧、雲も細かい水滴ですから、仲間どおしですね。

気体の状態では、HO分子がばらばらになっている。湯気、すなわち微細な液体の水は、HO分子のかなりの数が凝集した状態です。水以外の物質で「湯気」の状態ができるものはありません。

このように、水HOは、きわめて特殊な物質なのです。それは水素結合によります。HO分子の間にできる比較的弱い結合です。水素結合がネットワークとなって、HO分子は集まりやすいという性質をもっています。
 

Q and A の目次へ

TOPへ

 大同工業大学HPへ


シャトルカード通信2012
3rdSC通信2012-2.pdf へのリンク