Q and  A 

質問 21   (1.2008)

「ヘリウム原子He、ネオン原子Neなど希ガス原子のことを単原子分子という」と習いましたが、納得いきません。分子とは2つ以上の原子が化学結合しで電気的に中性のもの、じゃないですか?
1個の原子だけで分子 ―単原子分子― ・・・説明してください
 

回答

  「原子が2個以上結合したもので、全体の電荷がゼロ」

これがたいていの書籍による説明です。とすれば、1個の原子からなるものを単原子分子というのは確かにおかしい・・・ってことになりますよね。

 「劇団ひとり」というピン芸人タレントがいます。この芸名も十分奇妙・ユニークですが、「単原子分子」というのは、彼が「劇団ふたり」と名乗るような奇天烈さがあるともいえますね。
 
 「分子」は英語でmoleculeです。これはもともとフランス語から来たもので「extremely minute particle」すごく微細な粒子という意味だそうです。
 
「単原子分子」という概念(考え方)が容認されるということは、「分子」は複数の原子の結合体として定義してはいけない・・ということでもあります。

じゃあ、どんな定義???

「分子」という概念は、歴史的に考えると気体の性質を微視的に説明するための仮説だったことを思い出しましょう。

たとえば、気体の水素であれば、気体の質量(重さ)と体積から考えると、Hという単位(まとまり)で挙動しているとしたほうが良い。二酸化炭素であればCO、メタンであればCHというまとまりで動いている・・・このまとまりのことを「分子」としたわけです。そうするとヘリウムはHe原子一個が“まとまり”となっている。この“まとまり”のことを「分子」といったわけです。このようなことが分かれば、「単原子分子」という言い方、理解できますね。

このような経緯で「分子」は定義されたのだけど、ほとんどの「分子」は、複数の原子の結合体であった・・ということで元来の意味が,すこし変化してきた、ということでしょうか。

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