Q and  A 

質問 19   (11.2006)

水のイオン積、pHを勉強していて思いついた質問です。最近スーパーでアルカリイオン水製造機というのが置いてあるのをみました。アルカリイオン水とは何ですか?NaOHとかを溶かし込んでいるのですか?健康に良いとのことですが、アルカリ性で危険ってことはないのですか?

回答

「アルカリイオン水」とは学術用語ではなく、商品名のようなものと捉えてください。水道水を電気分解しつつ、陰極側から汲みだすといいう装置で作られる水のことのようです。陰極では次の反応が起こります。
 2H+ + 2e  →  H2
水素イオンH+に、陰極から与えられる電子が反応して、気体の水素H2が発生します。では、水素イオンH+は、どこから来たのか。それは、水のイオン積に深く関連します。純水と水溶液では、水のイオン積の式が、なりたっていることを学びました。
  [H+][OH-] = 1.0 x 10-14  (mol/l)2   (25℃)
純水中のH+とOH-は、H2Oがわずかに電離して平衡になっているために生じています。
  H2O ⇔ H+ +  OH-
純水では、[H+] = [OH-] = 1.0 x 10-7  (mol/l)  (25℃) で、中性 となっていることは、講義でやりましたね。
水道水は純水ではありませんが、水道水中のH+も上の反応で供給されるものがあります。このH+が電気分解により陰極付近で消費されますので、水酸化物イオンOH-が相対的に増加し局所的に[H+]<[OH-]となり塩基性(アルカリ性)になる可能性ではあります。ただし、「電気分解を続けているあいだは」、という限定条件がつきます。通電を止めたとき、あるいは汲みだしたあとは、どうなるでしょうか。消費されて減少したH+はH2Oが電離することによって再び供給されます。これが電離平衡の原理です。そして、元の水道水とほぼ同じじに状態に戻ると思われます(微量成分の濃度はすこし変化する可能性はあります)。したがって、アルカリイオン水は「水道水と同じくらいには安全である。一方、特別な効能も考えにくい」というのが私の考えです。
 

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