Q and  A 

質問  14   (11.2005)

溶液の沸点上昇と凝固点効果の計算問題を解くとき、重量モル濃度を使います。重量モル濃度は他では全く使用することがない。モル濃度を使うことが、ほとんどであるということでした。どうして、ここだけ、そんな特別な重量モル濃度でなければならないのでしょうか?

回答

これは、希薄溶液の沸点上昇と凝固点降下現象の基本原理がラウールの法則であることによります。

希薄溶液の蒸気圧降下は溶質bのモル分率(Nb/(Na+Nb))となります(ラウールの法則)。希薄溶液ですから、溶媒の物質量Naは溶質の物質量Nbに比べてはるかに大きいことになります。Na>>Nbです。したがって、Na+Nb=Naで、蒸気圧降下はNb/Naとなります。重量モル濃度(1kgの溶媒に溶けている溶質の物質量)は、このNb/Naと比例関係にあります。モル濃度はNb/Naと比例しません。

沸点上昇および凝固点降下は、蒸気圧降下と比例関係にある。蒸気圧降下はNb/Naと比例関係にある。Nb/Naは重量モル濃度と比例関係にある。したがって、沸点上昇(ΔTb)および凝固点降下(ΔTf)は、重量モル濃度と比例関係となる。それぞれの比例定数をKb、Kf、重量モル濃度をmとすれば、
  ΔTb = Kb m
  ΔTf = Kf m
が成り立つことになります。Kb, Kfを、それぞれ、モル沸点上昇定数、モル凝固点降下定数といい、溶媒の種類にのみよる値となります。
 

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