Q and  A

質問 1   (4.2002)
ラザフォードは原子がスイカモデルなのか土星モデルなのかを確かめる実験としてα線(α粒子の流れ)を金箔に当てました。α粒子は原子より小さく、正電荷をもつものということでした。
(1) その正体は何ですか?
(2) α粒子が金原子に比べて小さいということを、ラザフォードはどうして知っていたのですか?

回答
たいへん良い質問です。話がややこしくなるの避けるため、講義では詳しいことは省略しました。α粒子はヘリウム4(He)の原子核です。2つの陽子と2つの中性子からできています。このことは1909年にラザフォードが実験的に確認しています。当時物質に対して透過力のある放射線が発見されていました。α線はその一つです。ラザフォードはα線の正体を突き止めるために、図のような装置を用いて実験を行いました。
 中央のラドンはα線を放出することが知られていた気体物質です。薄い厚さのガラスのアンプルに封入されています。“薄い厚さ”というところがミソです。α線はアンプルガラスを透過して「真空」部分に飛び出てきます。この状態を長時間つづけます。ラドンから放出されるα線、あるいはα線の変質物が「真空」と書かれたスペースに溜まってきます。それは気体でした。ある時間後、外から水銀を補給し水銀液面を上昇させ、溜まった気体を圧縮して放電管部分に集めます。放電を行いますとヘリウムに特有な光が放出されることをラザフォードは確認し、α粒子がヘリウム原子の正電荷をもった一部分であることを突き止めたのです。上で“α線の変質物”と書いたのはヘリウム原子のことですね。
 講義で紹介したラザフォードの散乱実験(α線を金箔に当てた実験)は1911年に行われました。α粒子がヘリウム原子の一部分であることをラザフォードは知っていたわけです。
 α粒子はヘリウムの原子核ですので、He2+ということになります。He原子になるためには電子2個を獲得しなければなりません。それはどこから?と訊かれそうですね。「真空」と言っても、完全な真空を実験的に作り出すことは難しいです。わずかに存在していた物質から電子を頂戴すると考えてよいです。

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