
2006年8月16日、NASA(アメリカ航空宇宙局)グリフイン長官は「2回のディスカバリー号飛行によって、スペースシャトル飛行の安全が確認された。次の飛行から国際宇宙ステーションの建設にはいる。」との安全宣言を行いました。この宣言を知った私はうれしさと不安が入り混じった複雑な気持ちで一杯になりました。
本当にスペースシャトル飛行は安全なのでしょうか。1986年のチャレンジャー号爆発事故、2003年のコロンビア号空中分解事故のような悲劇を2度と繰り返してほしくありません。 私は考えます。スペースシャトル打上げ時に機体に大きなダメージが発生する確率は1/100程度です。スペースシャトルは上昇とともに、空気が薄くなり、宇宙高度100kmでは真空状態であるから、機体の表面に相当のダメージがあっても、致命的な事態にはならないでしょう。問題は帰還時です。秒速10kmで大気圏に突入する時、シャトル本体(オービタ)はプラズマ化した高温ガスに覆われ、オービタの鼻先と主翼先端は1500℃以上の高温になります。2003年のコロンビア号分解事故は主翼の亀裂から進入した高温プラズマガスによって、機体がばらばらに分解したものです。 事故後の改善策として、建設中の国際宇宙ステーションにドッキングする前後にオービタ表面の検査を徹底的に行われることになりました。小さな傷は修理、致命的な傷の場合は、オービタを放棄して、乗組員は救援機やロシアのソユーズ宇宙船で帰還します。従って、乗組員が帰還できない確率は1/500〜1/1000です。これは許容範囲と思われます。この程度の事故率を許容するかどうかは、思想の問題であり、技術の問題ではないと思います。