新校舎そもそもの話 武藤先生に聞きました。
新校舎そもそもの話 武藤先生に聞きました。

工学部 建築学科 建築専攻/インテリアデザイン専攻 武藤 隆先生

東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻を修了後、安藤忠雄建築研究所で約10年勤務。美術館やギャラリー、芸術祭や屋外などにおける展示空間、展覧会の会場構成の研究が専門。近年では「あいちトリエンナーレ」にて、全体の会場構成などにも関わった。

すべての人、その思いや夢を包みこむ建築。

建物は、無機物かもしれない。しかし、そこに人の思いや営みが集ったとき、空間に血が通い、命が吹き込まれる。新たに生を受けるこの建築は、学生と共にどのような風景を描こうとしているのか。その答えを紐解くため、新校舎建設プロジェクトのメンバー、武藤 隆先生に建築のコンセプト、狙いなどを語ってもらった。

section 01
経緯とコンセプト

そもそもの始まりは、「老朽化した白水校舎をどうにかしよう」ということでした。約10年程前からこのテーマが議論されていたのですが、具体的にプロジェクトが始動したのは、2016年のこと。建築学科の建築専攻、インテリアデザイン専攻、土木・環境専攻をはじめ教養部や管財室などからもメンバーが集まり、プロジェクトチームが立ち上がりました。

「伝統と先進」「既存校舎と新校舎」「大学と社会」などさまざまなものを連携<クロス>させる校舎にしようというX(クロス)棟のコンセプトを象徴するのが、「Dクロスモール」。滝春キャンパスB棟とX棟を貫くようにつくられた巨大な空間です。この空間を軸に、講義室や実験室などを配置していきました。

「大同大学の未来に向けた意思」を象徴するものとしては、東に向かって開かれた巨大な窓もその一つでしょう。これは、「これからも大学が社会に開いていく」という決意を表したものです。電車の窓からも目に留まるこの開かれた窓のある風景が、これからゆっくりと社会に溶け込んでいってくれればと思っています。

設計を進めるにあたって、一番重視したのは、フロア構成です。学生の動線や実験材料の搬入など、この建築で展開される活動を具体的にイメージしながら、どの部屋をどこに配置するのかを考えていきました。そして3階は建築専攻とインテリアデザイン専攻のフロア、4階は土木・環境専攻のフロアに。教員の部屋と4年生が使う部屋を同じフロアに配置することで、「ドアを開ければ、すぐそこに教員と学生の交流が生まれる環境」をつくり出しました。

武藤 隆先生
section 02
教示し、包容する新・キャンパス

X棟は、「生きた教材」です。むき出しの天井も、ガラス張りのエレベーターも、内部の構造を知るための教科書なのです。床や柱などには、金属、鉄、コンクリート、木材など、多種多様な素材が意図的に使われていますから、その特徴を体感することができます。さらに2階のラウンジの壁には、天井までの垂直方向の高さを示した数字が描かれています。建築では1/100、1/200といった縮尺を使いますが、ここではそれが1/1というスケールで存在しているのです。そのため、この校舎なら「実際に見てみよう」という授業ができる。実感・体感を伴う学びは、学生の血肉となることでしょう。

また、アクティブラーニングを意識して、空間的に開かれた「ラーニングコモンズ」と呼ばれる場所を随所に配置しました。それぞれのラーニングコモンズは、先生に相談するときに適していたり、グループワークなど大人数の活動に適していたり、場所によって空間の性格が少しずつ違います。これと同じように、このX棟には一人でいるのに居心地のいい場所もあれば、友だちとわいわい過ごすのにぴったりの場所もあります。それぞれの場所に配置された机や椅子などもバラエティーに富んでいて、一つとして同じものはありません。そのため、このX棟ならば、誰もが「自分のお気に入りの場所」を見つけられます。このように、X棟は「すべての人、その思いを包容してくれる建築」なのです。誰もが、「ここで学びたい」と思えるはず。卒業生をはじめ、多くの人々の協力を得て、このような建築を生み出すことができたことは、建築を専門とする教員として、誇りに思います。

ラーニングコモンズ

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