薄膜とは薄い膜のことですが、単に薄い膜というのではありません。金属や半導体などを非常に薄くすると、普通の塊や板のときとは違った性質が出てきます。コンピューターで使われる半導体素子や磁気記録装置、さらには太陽光発電、レンズのコーティングなど多くで利用されています。
薄いもので身近なものと言えばまずは紙ですね。薄手といわれる紙の厚さはおよそ60〜70μm(ミクロン)。それからアルミホイル。これは10〜60μmです。これに対して薄膜の厚さは薄いものになると数nm(ナノメートル=1/1000ミクロン)というから驚きです。
そんなに薄い膜は普通の塗装や圧延ではできません。どうやって作るかというと、膜になる物質を真空内で蒸発させて、基盤の上に付着させるのが蒸着という方法。そして膜の物質にアルゴンや窒素などのイオンを激しくぶつけ、はじき出された原子を他の基盤で受け止めるという方法(スパッタリング)もあります。いずれにせよ原子レベルの話で、原子数個から数百個の厚さなんだそうです。
さて薄膜は「はくまく」と読みますよね。ところがコンピューター業界のある分野では「うすまく」と読むことがあります。ハードディスクに使われる薄膜ヘッドを「うすまくヘッド」として掲載しているサイトもあるようです。これも業界用語なんでしょうかね。あえて重箱読みや湯桶読みにするとツウっぽく聞こえるのかな。 --- Y.O. ---