可逆とは読んで字のごとく、逆も可能という意味です。たとえば化学の世界では、反応式で矢印が左右両方に向いているときは可逆反応といいます。逆方向の反応も起こるわけですね。
情報の分野で可逆という言葉がよく使われるのは圧縮のときでしょう。圧縮とはデータの量を減らすことです。そして、圧縮したものを復元(解凍)して完全に元どおりに戻るのが可逆圧縮です。それに対して復元したものが元と変わってしまうのが非可逆圧縮です。一般に非可逆圧縮は可逆圧縮よりも圧縮率を高くできます。つまり、より小さくできるわけですね。そのかわりデータがちょっと変わるのは我慢してくださいということになります。
文章のような場合は1文字でも違うと困りますから可逆圧縮を使います。でも画像、動画、音声などは、ある程度までの劣化は許容できます。あるいは劣化に気づかないということすらあります。ということで、とくにデータの多い動画では非可逆圧縮は不可欠です。音の場合も携帯プレーヤーでは mp3 に代表される非可逆圧縮が主流です。
でも一方で、最高品質を求めたいという声もあります。その場合はデータが大きくても劣化がない可逆圧縮を選びますが、これをロスレス圧縮ともいいます。質をとるか量をとるか、これはいつの時代も悩む問題なのでしょう。--- Y.O.
大同工業大学 情報学部 大石研究室