音や画像のアナログ信号をコンピュータで扱うにはディジタル信号に変換しなければなりません。これはA/D変換といって、時間的にも量的にも不連続(とびとび)の値にします。とくに量をあらかじめ与えられた数の段階で近似することを量子化といいます。コンピュータ内では2進数で扱われるので、2進数のビット数(桁数)によって段階数(=細かさ)が決まります。たとえば8ビットなら256段階、16ビットなら65536段階、一般にnビットなら2n段階というわけです。
量子化ビット数は多い方がいいに決まっていますが、そうするとデータ量が多くなるので適当なところで妥協します。たとえば、音楽CDの信号は16ビットで量子化されています。人の耳ではこれ以上細かい量の識別ができないのでこれで十分なのです。ただし、量子化は四捨五入と同じで、繰り返すとどんどん誤差が累積されてしまいます。そのため、録音から編集までの処理は、もっと量子化ビット数の多いシステムを使うことが多くなっています。
ところで「量子」というのは、もともと量子力学の言葉です。自然界において「電子や光子のエネルギーは、不連続でとびとびの値しかとることができない」ということとの類似性からディジタル信号でも使うようになったのでしょう。 --- Y.O. ---