・レーザなどによって一部を加熱すると,異種材を接合したり表面を改質することができます.その部分のミクロな構造と特性との関係を明らかにしようと日夜取り組んでいます.ミクロ構造とは多様な原子が配列した結晶が集まったグループ(相)の組合せを指し,ミクロ組織とも言います.ミクロ組織は熱や加工のエネルギーを受けて生き物のように変化します.これをうまく制御すれば,機械材料は優れた力学特性や電磁気特性を持つようになるのです.
いかに省エネルギーで意図したミクロ組織に変化させるか
将来のモノづくりを目指した材料研究を志する学生を待っています
中部支部では毎年講演大会を開催し,企業や学生の一般講演では口頭発表とポスターセッションを併用しています.新規な学術成果だけでなく,特徴のある研究や実験装置,開発・改善事例など幅広い内容の発表が可能です.学生会員と企業会員の情報交換の場として,会場では写真のように交流を深めて頂ける機会を提供しています.今回は計7件の発表があり,M2福冨くんが以下のタイトルで初めて口頭発表しました.おかげさまで一般講演優秀賞を受賞することができました.夕刻には懇親会で挨拶し,多くの企業の方々に祝福して頂きました.
Cr-V鋼のγ+α域加熱が炭化物析出と硬さにおよぼす影響
溶融造形プロセスにおける粉末溶融の制御
純銅の溶融造形プロセスの熱源として,短波長レーザの利用が拡がりつつあります.これに対してCu合金粉末は従来のIRレーザでも溶融させやすく,すでに工業レベルでレーザ肉盛り造形が行われています.しかしながら精密加工プロセスとしては,さらに少量粉末の溶融や,微小液滴の運動を制御する必要があります.このため粉末表面性状と溶融温度の関係や,液滴の合体・濡れなど融体運動に関する研究を開始しました.Cu合金粉末は添加元素や雰囲気酸素分圧によりレーザ吸収率が変化し,溶融した後の液滴の表面張力も複雑に変化すると考えられます.
溶融した粉末を見て測る!
右の写真はある委託研究において製作した装置で,内部の試料台に基板を設置し,その中心に金属粉末を薄く敷きつめ,短時間レーザを照射します.装置内は手前のホースから入るN2ガスなどにより酸素濃度がコントロールされます.上蓋にはレーザ波長を完全に透過させるガラス窓がつきますが,窓を通して高速度カメラによる観察や,放射温度計による測温が可能です.
今年は4年生が13名,大学院生1名という布陣.院生が3人卒業してスタッフが少なくなりましたが,時間に余裕のある4年生に運営面を手伝ってもらいます. 研究テーマもだいぶ変わります.初回のセミナーでは研究対象ごとに4つのチームを作り,各メンバーが希望のチームを選びました.
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今年は9名の4年生,3名の院生が無事,3/21に学位授与式を終えました.
いつもながら揃いが良くなく3人ほど写ってないですが,とにかくおめでとう!
今回の卒論と修論の査読・指導はなかなかなボリュームでした.週末は近所の図書館自習室に通い,ずっと赤ペンを持っていた気がします.来年はさらに多く14名になる予定...
これまで3つの小部屋に分かれていた実験室が,大きな実験室に集約されました.移転にあたっては各装置の結線を外し,主要部分をクッション材でつつみ,再び結線と配管に悩むという皆さんの苦闘を経て,無事すべての機器が再稼働しました.D棟1階の奥ですが,西側窓に面して明るいです.徳納先生の実験室にあった装置の一部もやってきました.そのため,他の研究室の学生も頻繁に出入りし,楽しくかつ他の人がどんな実験をしているかなど交流しやすい開放的な実験室になりました.
今や身の回りにあふれている電磁気製品.磁気を通すには鉄(Fe)系の軟磁性材が使われ,一方電気を通しやすいのは銅(Cu)やアルミニウム,銀など.これらが複合化されて電磁気部品は製造されています.そもそもFeとCu,Alなどは溶接しにくく,通常はロウ付けなどで接合されます.私たちは電気接点部や特殊抵抗部分を直接レーザで造形することで,電気部品の多様化に応えるフレキシブルな製造法を目指し,様々な基材に対してCu合金や酸化物分散Agを溶着させた時の特性を調べています.
(日本銅学会および学内の研究奨励金を頂いています)
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9月に行われる中間発表会は,卒研生が初めて教員の前で発表する機会です.ここではまだ研究データが出ていなくても,研究の背景やねらい,今後の研究計画について説明します.何のためにこの研究をやっているのか,どんな結果にたどり着きたいのか,どんなアプローチをとるのか,新しさはどこか...などが問われる緊張感のある場です.
一方,大学院生は学会に学生会員として所属し,講演大会で口頭発表やポスタセッションをしなくてはなりません.既存の研究を理解するため,写真のような論文勉強会も行っています.
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銅(Cu)やアルミニウム(Al)は電気を良く伝え,リチウムイオン二次電池の構部部材として欠かせない材料です.でもAlはとても活性な金属で接合が難しい.接合状態が良くないと電気抵抗が増加し,発熱などの損失になります.接合部の複雑なミクロ組織中を流れる電気が見えれば... ↓すごい装置があります!
(顕微鏡サーモビュアで見た通電中の接合試料のミクロな温度分布)
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2023年度の担当授業は,前期に3年生向けの「機械英語A」,後期に2年生向けの「機械設計製図2」です.ここではCADソフトを利用して,部品の3Dモデルから製作図の作成し,さらに部品どうしが干渉せずに機械が正しく動くように,コンピュータ上でアセンブリ(組立て)を行います.
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