・レーザなどによって一部を加熱すると,異種材を接合したり表面を改質することができます.その部分のミクロな構造と特性との関係を明らかにしようと日夜取り組んでいます.ミクロ構造とは多様な原子が配列した結晶が集まったグループ(相)の組合せを指し,ミクロ組織とも言います.ミクロ組織は熱や加工のエネルギーを受けて生き物のように変化します.これをうまく制御すれば,機械材料は優れた力学特性や電磁気特性を持つようになるのです.
いかに省エネルギーで意図したミクロ組織に変化させるか
将来のモノづくりを目指した材料研究を志する学生を待っています
今年度から,電解腐食・電解抽出という鉄鋼材料中のごく微細な構造をレリーフ状に浮き出させて観察する手法に取り組んでいます.良く表面研磨した試料に特殊な溶液中で定電流を流すと,鉄の素地が少しずつ溶けだし,埋まっていた異質な相が写真のように粒子と素地の位置関係が鮮明に観察できるようになります.
この手法は古くから鉄鋼材料の析出物や介在物を抽出するのに用いられてきました.4年の後藤くんはアドバイスを受けながら電解条件を最適化し,10nmにも満たないナノ炭化物がマルテンサイトブロックに沿って析出する様子をとらえました.
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ピカピカと光る銅(Cu)の粉末.これは金属積層造形用の球状Cu粉末で,金属3Dプリンタによって複雑な形状を造形できます.粉末は加熱されるとまず表面がうっすらと液相になり,表面張力によってとなりの粉末と結合して液滴になります.その小さな金属液滴が集まって溶融池を形成し,移動しながら凝固していくんですが,ここで空洞ができたり溶け落ちたりすると欠陥になります. 液滴の動きはもとの粉末が少し酸化しているだけでかなり変わります。今,4年生二人が赤外線加熱装置を使ってCu粉末の溶融挙動を調べており,大変興味深い結果が出つつあります. ...使用している装置はこちらを参照して下さい.
2021年度に導入されたレーザ加工装置ですが,金属溶融を研究対象とするからには正確に所定の温度に加熱してやらねばなりません.測温は放射温度計で行いますが,レーザ加熱の要はビームの形状と出力・時間の制御にあります.これも4年生ががんばって,ビームのフォーカス範囲と加熱範囲の変化を調べました.結果を応用し,レーザで加熱しにくい銅や銅粉と酸化物との混合物を,ねらった温度に加熱できるよう日々実験しています.
田中研では3つの材料計算ソフトを用いています.どの元素をどんな組成で混ぜ,ある温度に加熱するとどんな構造(相)ができるか,これは熱力学データベースを備えたCalphadソフトで定量的に予測可能です.
私たちは研究対象の合金と雰囲気ガスとの化学反応を解析し,酸化・還元を含めたプロセス中で起こる材料変化の予測と実験結果を対比して考察を深めています.図は例として,Cu-2%Fe合金の酸素分圧による状態変化を計算した図です。
今年は9名の4年生,3名の院生が無事,3/21に学位授与式を終えました.
いつもながら揃いが良くなく3人ほど写ってないですが,とにかくおめでとう!
今回の卒論と修論の査読・指導はなかなかなボリュームでした.週末は近所の図書館自習室に通い,ずっと赤ペンを持っていた気がします.来年はさらに多く14名になる予定...
これまで3つの小部屋に分かれていた実験室が,大きな実験室に集約されました.移転にあたっては各装置の結線を外し,主要部分をクッション材でつつみ,再び結線と配管に悩むという皆さんの苦闘を経て,無事すべての機器が再稼働しました.D棟1階の奥ですが,西側窓に面して明るいです.徳納先生の実験室にあった装置の一部もやってきました.そのため,他の研究室の学生も頻繁に出入りし,楽しくかつ他の人がどんな実験をしているかなど交流しやすい開放的な実験室になりました.
9月に行われる中間発表会は,卒研生が初めて教員の前で発表する機会です.ここではまだ研究データが出ていなくても,研究の背景やねらい,今後の研究計画について説明します.何のためにこの研究をやっているのか,どんな結果にたどり着きたいのか,どんなアプローチをとるのか,新しさはどこか...などが問われる緊張感のある場です.
一方,大学院生は学会に学生会員として所属し,講演大会で口頭発表やポスタセッションをしなくてはなりません.既存の研究を理解するため,写真のような論文勉強会も行っています.
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銅(Cu)やアルミニウム(Al)は電気を良く伝え,リチウムイオン二次電池の構部部材として欠かせない材料です.でもAlはとても活性な金属で接合が難しい.接合状態が良くないと電気抵抗が増加し,発熱などの損失になります.接合部の複雑なミクロ組織中を流れる電気が見えれば... ↓すごい装置があります!
(顕微鏡サーモビュアで見た通電中の接合試料のミクロな温度分布)
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2023年度の担当授業は,前期に3年生向けの「機械英語A」,後期に2年生向けの「機械設計製図2」です.ここではCADソフトを利用して,部品の3Dモデルから製作図の作成し,さらに部品どうしが干渉せずに機械が正しく動くように,コンピュータ上でアセンブリ(組立て)を行います.
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