井藤 隆志 教授

プロフィール

1969年、岐阜県生まれ。1992年、筑波大学芸術専門学群を卒業後、富士通株式会社に入社。総合デザイン研究所に勤務し、携帯電話など情報機器類のプロダクトデザインを数多く手がける。1999年、富士通を退社し、ミラノでフリーランスのプロダクトデザイナーとして活動を開始。2002年、帰国後にイフジデザインスタジオを設立。 “国際陶磁器コンペティション98”入選、“100% Folding Chairs Competition”(イタリア)入賞など、国内外の受賞歴多数。

1999年から約3年間、ミラノでフリーランスのプロダクトデザイナーとして活動をしていました。その時に感じたのは、イタリアと日本の、経営者のデザインに対する考え方の違いです。イタリアは中小・零細企業が8割を占めていますが、経営者ごとに明確なビジョンを持ち、本質的な価値として自社のデザインに向き合っている。商品を売るために、小手先の差別化としてデザインを利用しようとは考えていないんです。 イタリアから帰国して、私は岐阜市に事務所を構えました。地元のメーカーや、地場産業の職人が持つ技術とコラボレーションし、私のデザインを通じて多くの人に発信していく。そんなプロダクトデザインの仕事を、これからも続けていきたいと思っています。 ものづくりの現場で、職人や技術者と一緒に考える。そこには、ゼロからモノを創り上げていく魅力があふれています。

岐阜提灯のメーカーとコラボレーションして開発したLEDライト“VESTALUCE”。9灯のLEDを独自の発想で制御することで、ろうそくの炎の揺らぎを再現した。初めて展示会で発表した時には、大手照明メーカーの開発担当者が続々と集まり、「うちでは、絶対にできないモノ」と羨望の眼差しを。「地場産業の現場で、そこでしかできないモノをつくるから、大手にも負けない」と、井藤教授は語る。

地元の金属メーカーとコラボレーションした節水シャワーヘッド“AriaMisto”。水の力で空気を吸引混入させることで、水圧を落とすことなく柔らかな水になる。実際に持ってみると、適度な重さと計算された形状で、とても手に馴染む。

地元の自転車関連部品メーカーとコラボレーションした、自転車用携帯ツール“Handy Pak”。6種類のツールをセットしたものと、14種類のものがある。これも実際に持ってみると、まるでずっと使い続けていた工具のように手に馴染む。