Q and  A

質問  8   (1.2005)

酢酸CH3COOHの炭素の酸化数を、酸素の酸化数を-2、水素の酸化数を+1として計算してみました。化合物の構成原子の酸化数の総和が0(ゼロ)となるということですので、酢酸の炭素の酸化数は0(ゼロ)となりましたが、それでよいのでしょうか。

回答

メタンCH4の炭素の酸化数は、-4です。二酸化炭素CO2では+4です。これらの酸化数の値は「酸化数の計算法の約束」で容易に計算できますが、原子の結合から次のように、単純化して説明することができます。メタンCH4では炭素原子に4つの水素から4個の電子が供給される方向にある。炭素は4つの電子を受け入れる方向にある、これを酸化数-4と表現しているのです。二酸化炭素CO2では、逆に炭素から2つの酸素原子に4個の電子が移動する方向にあり、結合(すなわち分子)をつくります。酸化数+4です。ではベンゼンC6H6では、どうでしょう。計算の結果は-1です。ベンゼンの構造式を思い浮かべてください。炭素原子の一つに着目します。炭素の4つの結合のうち3つの相方は隣接する炭素です。同種の原子との結合ですので結合に関わる電子の偏りはありません。電子の移動は水素からの供給方向の一つです。これで、ベンゼンの炭素の酸化数が-1となります。以上のべた「電子の移動(授受)の方向」、「結合の電子の偏り」は、結合の極性、電気陰性度のところで勉強したことです。
酢酸CH3COOHの炭素は2つあります。メタン、二酸化炭素、ベンゼンでの炭素の酸化数の考え方を適用すると、前のメチル基の炭素の酸化数が-3、後ろのカルボキシル基の炭素の酸化数は+3となります。平均すれば、±0となります。
 

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