やっぱ飛ぶならぶっちぎり

掲載: 同窓会報 第40巻  2002. 8

標題を見て「なんの話かいな?」と首を捻った会員諸兄諸姉も多かったのではないか?この5月に行われた大同工業大学の大学祭・第37回宴祭のキャッチコピーだ。正確にいうと「はね?やっぱ飛ぶならぶっちぎり!」である。大学祭実行委員会の学生諸君の発想だ。実行委員会からこれを聞いたとき、棚橋秀行学生部次長(都市環境デザイン学科)いわく、「若い世代の思いつきですよね。とても僕たちでは捻りだせないフレーズですよ。凄いと思いました」。かく言う棚橋次長は30代前半。50を目前にした私の感性の守備範囲を“ぶっちぎり”超えていた。しかし「うーん、良いんじゃない。インパクトあるし・・・」若者への理解を示す(ことにした)。

私が撮った6葉の写真を紹介しながら、今回の宴祭を報告したい。拙文により「来年は宴祭に行ってみよう」というお気持ちを喚起できるならば望外の喜びである。

写真1

宴祭トップ、皮切りは5月19日、日曜日の栄での仮装行列の美流輝移(みるきい)である。美しく流れるように輝き移動するのか・・なるほど。写真1は仮装行列出発前の若宮公園での一コマ。実行委員のもつバナーを先頭に栄を歩く。このバナーは堀井憲爾前学長の進言で作られたのだとのことである。黒と黄色のコーディネートが宴祭カラーであるようだ。実行委員の“晴着”のはっぴも同じ配色だ。

写真2

24日金曜日、前夜祭。澤岡昭学長と伊藤昇一元学生部長(機械工学科)と私による鏡割りを合図に前夜祭が始まった。25,26日が本祭。今年から滝春新キャンパスが前夜祭、本祭の会場となった。長年図書館前広場が宴祭の中心であったが、実行委員会はメインアリーナを新キャンパスへ移動することを決めていた。初めての試みである。同窓会の寄付により建ったゴビ?ホール前の芝生の広場が大学祭のために開かれた。芝生の養生のため立ち入り禁止であったが、初開放である。写真2はD棟3階から撮ったものだ。D棟2階のテラスに設置された巨大なキティちゃんバルーン(写真右)は“わらべ村”企画の目玉。キティちゃんの体内と長い行列から、近所の子供たちの歓声が響く。田中卓理事長から「実行委員の学生諸君は良くやっているね。特に子供たちに優しく対応しているのが好もしい」との主旨のお言葉をいただく。早速伝えた。

写真3

天気には恵まれた。ゴビ?ホールのドームの輝きと青い空でわかっていただけるであろう。芝生広場に設営された模擬店の飲み物、ご馳走でくつろぐグループの輪があちこちでできた。学生と談笑する岩間三郎副学長(電気電子工学科、写真3中央)、藤田順治初代情報学部長(情報学科、写真3右端)のお顔も見える。

写真4

模擬店のひとつ(写真4)。某女子大からの応援出店とのこと。このブースの数軒先には“スナック愛ちゃん”があった(写真を撮り損ねました。残念)。同窓会副会長である愛知久史先生(情報学科)の研究室の出店。「コンピュータの進歩」の企画展示と同時営業で並んでいた。企画のほうは古い年代もののコンピュータが展示され興味深かった。“愛ちゃん”は同窓会からの参加者の方々の大学祭・新キャンパスツアーのベースキャンプでもあったようだ。楽しそうに旧交を温めておられるお姿を拝見することができた。

写真5

空手部の演技は宴祭における毎年の目玉企画の一つである。新キャンパスでの初演技ということで特に気合が入っていたようにみえた。私の部屋はD棟3階にある(写真5左端、キティの後頭部あたり)。数日前から一生懸命練習する姿を窓から見ていた。気合が入っていたのはもう一つ理由があったのかもしれない。今回は多くの空手部OBのご参加があり、暖かくも厳しい(怖い?)視線が演技に注がれていたのだ。OB会が組織され、初会合がA棟14階交流室で催されたとのことであった。

写真6

最後の写真6は、感動のクライマックス後夜祭だ。大江川わきの滝春グランドが会場だ。巨大ファイアとステージを中心に進められた。午後の明るいうちからワンダーフォーゲル部員とOBが顧問の瀬川重男先生(数学教室)の指揮のもとファイアのための木を組み上げていた。この二階建家屋ほどの高さの巨大ファイアは宴祭名物だ。他大学の大学祭委員会の羨望の的でもある。コンサート、舞踏などのプログラムを経て花火のフィナーレ。仕掛花火で「UTAGE」の文字が輝く。このあたりから、若者の目にファイアがくっきりと、そしてユラユラ映りだす。涙のせいだ。若いということは素晴らしい。

祭は終わった。後夜祭参加者の帰っていくのを見届けた後、大学祭実行委員と学生部スタッフは盛況で無事に完了した宴祭のために祝杯をあげた。大学祭打ち上げでの学内飲酒は禁止という実行委員会が決めたルールがあるため、乾杯はペットボトルの冷たい緑茶だった。どんな美酒より心を酔わせるものであっただろう。生涯忘れられない味となったにちがいない。 (009)

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