掲載: 和技 (クラブ員会 年会誌),2002, 4
大学の講義以外の時間をどう過ごすかは学生にとって大きな問題のようだ。多少の創作を含むが、こんな会話が実際にあった。
「そのあと何をしていいかわからないのです。けっこう時間がたくさんあります」
「勉強すりゃいいだろ。キャップ制で宿題がたくさん出るようになったはずだけど」
「やっています。でもそんなに時間がかかるわけではないし・・・わからない問題は、次の講義の“聴き所“として残しておけばいいわけだし・・」
「なるほど。じゃ、すきなこと、趣味とか、クラブ活動とか、そういうのはどうなの?」
「うーん。ちょっとピンとこないですね。結局アルバイトをするのが一番有効な時間の使い方になるのかって思うのですが」
「お金が必要なのかい」
「いいえ。でも、使いみちがとりあえず見つからないなら貯めておけばいいわけだし・・。ボーと何もしないよりは充実感あるし・・・」
ひとつだけ言いたい。働き、その対価としてお金をもらう。重要なことだ。充足感もある。しかし、それはこの先、否が応でもやっていかなければいけないことだ。お金を払ってもつ時間と、お金をもらってもつ時間のちがいを考えてみよう。自分を安売りしないでほしい。本当の自分の時間をもてるチャンスは一生のなかで案外少ない。(006)