はじめに

このページは、大同工大 鷲見研(河川・流域研)において、GPSとPDA購入の新規整備を行った記録を残し、後の自研究室での参考資料とするとともに、同様の研究を行っている他研究者の一助となることを期待し作成しました。

この機器整備の目的

 鷲見が取り組む研究の中には、河川や流域における現地調査が多く、とくに河川の砂州等における杭や小設置物等の位置を記録し、後に探査する場合もあります。

 このため、2006年まで所属してきた研究室では、通常の簡易なGPSではなく、DGPS(ディファレンシャルGPS)を使用してきました。 DGPSの精度は2RMS(2シグマ)で50cm程度で、通常のGPSは15m程度です。最近は携帯の基地局等を利用したGPSなどもありますが、ここではそれらは選択肢に入れることなく検討しました。

 今回、大学を移動し、GPSを新たに整備することとなり、同様の精度のもので、かつ、より軽量のものをより安価に整備することを考慮しながら、以下のように、GPS+PDAのセットを購入しました。むろん、この組み合わせが再安価で最良のものとは思っていませんが、検討の時間よりも使用開始時期を早くするために、どの条件も最上のものと言えないと思うし、保証しないことを付記します。

構成

DGPS受信機・アンテナ(一体型): Hemisphere Crescent A100
PDA: Hewlett Packerd iPAQ HW2940b (OS:Windows Mobile 5.0)



機器群

現地使用時の様子。
レーザーレベルと併用して3次元計測。
背負っているのは私です。(寝癖注意)

バックパックの中はケーブルだらけ。
実際にはもっと簡単にできます。

バッテリにワニ口で
使用時には、荷造り用テープで固定。

【手前】バッテリからφ2mmジャックに
(バッテリ側はメス)
【奥】RS232Cのケーブル結合。真ん中はアダプタ(変換器)でオスーオスが、右側灰色がメスメスのクロスケーブル、左側がGPS側本体(メス)。

接続図


ArcPADの使用法等の詳細については、後日改めます。

使用しての感想:
使用開始時の問題:
使用開始時の条件が厳しい。初期に大気の状態を捉えるための時間と、空の広がりが必要。
バッテリ関係とその調達の問題:
結局ユアサのバッテリ+充電器でそろえた。しかし、接続系を自分でなんとかしなければいけないのが難点。バッテリにつなぐわにぐちのワイヤを、φ2mmオスピンでハンダづけした。バックパックの中でワニ口が取れる可能性があるので、φ2mmオスピンまでのケーブルに、じか付したほうがよい。今回は、バッテリを他の目的でも使用するため、端子に固定接続していない。このあたりの最終形には検討の余地がある。
当初、12V電源については、A100について、私のケースでは始めに、ネット販売でバッテリと充電器をセットを買ったが、電流不足・充電不足によって使えなかった。充電も不十分で長い時間掛けても13V付近まで上がらなかった。バッテリからφ2mmジャックの間に、逆流防止や電流過多防止のシガーソケットなどがあるが、これらが悪い作用をしているようだ。携帯するための12V電源の環境については、どの業者も配慮しているように思えない。
PDAとArcPADの使用感:
快適です。スタイラス(入力ペン)でのデリケートな作業以外は、装備も軽く、よいでしょう。PDAを首からつり下げるようにすれば、快適です。



全購入物リスト

部品 名称 価格 入手方法 コメント
DGPS本体 Hemisphere Cresent A100
(アンテナ・受信機内蔵)
242,340 ネット購入 DGPS(1m以下)を求めるなら、例えばMBX-3S(これは反応も精度もよい)のアンテナ付なら19万くらいで入手可能。
GPS-PDA接続用
ケーブル等
RS-232Cケーブル変換機(D-sub9pin,オス-オス) 250 電器屋で PDA-GPS間のケーブルについて:
GPSには、RS232C(Dsub9pinオス)のケーブルがついてきた。
HP純正のユニバーサルケーブルFA122A#AC3を使うならば、RS232Cクロスケーブルで両端がオス-オスのものを買って、GPS側との間にかませればよい。iPAQとGPSA100のRS232C接続はクロス接続させなければならないようです。 今回は初めての現場付近で部品調達したため、オスオス変換機が2つ入っている。接続は、このリストの順のとおり。

GISupplyなどで、直結できるケーブルが売られている。(後日購入し確認。)
RS-232Cケーブル クロス(D-sub9pin,メス−メス) 1,700
RS-232Cケーブル変換機(D-sub9pin,オス-オス) 650
HP純正iPAQ用ユニバーサル同期ケーブルFA122A#AC3  3,500 業者購入
PDA HP iPAQ HX2790B 本体 61,800 業者購入 PDAは意外に安い。中古ならば3万程度で手に入る。
GPS-バッテリ接続 ワニ口+φ2mmオスピン 500 電器屋.+ハンダづけ ある業者でGIS用バッテリ・充電器パック(12000くらい)を買ったが、使い物にならず、自分で部品を買い、ハンダ付けした。
GPS用12Vバッテリ ユアサNP2-12、1枚 6,000 電器屋で 言うまでもなく、軽いものがよい。
同充電器 バッテリ充電器(12V)
ユアサ PS12-05T
12,000 電器屋で
リュック バックパック、アンテナ台付(GISupplyより購入) 29,673 ネット購入 明らかに高いですが、便利。 GPS取り付けポールを買うか作るかして、適当なナップザックにつけると安く上がる。
予備 バッテリ12Vユアサ NP2-12を2枚追加 12,000 電器屋で 当分1個でよいが、後日の消耗後のバックアップ用。
iPAQ用バッテリFA832AA#AC3 5,000 電器屋で
iPAQ用スタイラス3本パックFA261A#AC3 1,800 業者購入 PDF用スタイラス(入力ペン)は、必ずなくすので予備を買う。
PDAでのGISソフト ESRI ArcPAD ver7 27,300 業者購入
教育機関向け
ソフトはダウンロード。ライセンスを買う前に、試してください。20分づつ繰り返し連続使用できます。(他に機能制限無し。)
合計 404,513 中古等を利用すれば、30万くらいまでには下げられる。



地点情報を記録するための作業の概要(ArcPAD):


1.ArcPADのインストール方法
 これについては、マニュアルを参考にして下さい。
 日本語化したい場合には、ESRIジャパンのサポートページを参考にしましょう。
 以下の説明は英語モードのものです。

2.GPS接続について
 GPSをRS232C経由で認識するのに、上記の純正ユニバーサルケーブルを使用する場合には、COM1ポートを使用しています。GPSメニューのGPSPreferenceから、プロトコル、接続ポート、ボートレートが合っていることを確認します。検索マークをクリックして、サーチすることも可能です。
 接続がどうしてもできない場合には、接続ケーブルの途中にクロスケーブルの有無を変えると改善される可能性があります。(私のケースでは、クロスケーブルが必要だった。)

3.GPS受信の確認

 いくらPDA+ArcPADが順調でも、受信機が受信していなければいけません。A100の場合は、インディケータで現在の状態が確認できます。(グリーンが、DGPS計測状態。オレンジが単独測位、赤が計測できていない。)合わせて確認します。歩いて、自分の位置が移動するか確認します。地図が無い場合には、レイヤメニューから、「MapGrid」というレイヤを表示にすると、グリッドが現れますので、使えます。

4.地点と、属性情報を入力する作業について

 研究での現地計測ではよく、地点の平面座標情報と、そこでの1つまたは複数の情報を記録してゆく作業を行います。このようなときの作業の概略を以下の記します。

4.1 シェープファイルの準備

 ポイントのシェープファイルを準備します。
 ファイルメニューから、新規(new)を経由し、シェープファイルを選びます。
 形式をpointなどを選択し、左下の+ボタンを押してフィールドを追加します。記録する情報の種類の数だけ、それに対応した桁数等を入力します。私の場合は、レベル測量の相対高さや、杭の地面からの高さおよびメモをフィールド(名)として追加しています。
OKして、シェープファイルの名称や保存先等を指定してOKします。
すると、QuickFormを作成するかと聞いてきますのでOKします。
 デフォルトでは、PicturePage(外部カメラによる写真の記録)にチェックが入っていますので、これをはずし、属性情報(AttributesPage)にチェックします。
 これ以上のカスタマイズはできないと言われますが、それでOKします。

4.2 レイヤへの追加と、測位
 レイヤボタンで、先ほど作成したシェープファイルを、有効に(チェック)して下さい。
 また、設定ようメニュー(金槌マーク)から、ツールバーのメニューで、Edit(編集)のツールバーが有効に成っているか確認して下さい。
 そして、GPS測位が可能な状態ならば、測位のボタン(衛星から→の出ているもの)を押すと、フィールドの情報の入力を求められますので、入力します。これがQuickFormによるものです。

4.3 評価モード時について
 ArcPADは、ライセンス購入前は、20分間の連続使用で終了させられますが、繰り返して使えます。また未保存のデータがある場合には、保存するか聞いてきますので、データをなくす心配はありません。安心して、試用することができます。

時間があったら、メニュー画面等を使って説明を書きます。
(上記の文は英語モードで試用した際の説明です)



最終更新日 2007.8.12