リガチャーとは合字と訳されます。合字とは2つの文字をくっつけてひとつにしたもののことです。右の図のAとEがくっついたような文字は見たことがあるでしょう。イソップ物語のイソップは AESOP ですが、最初の2文字をくっつけてこの字が使われます。小文字の方は発音記号で出てきましたよね。そしてこの文字にはアッシュ(ash)という名前もあるんですよ。
さて図の3つ目は fi と書いてありますが、これもよく見ると2文字ではなく1文字に合体しています。f と i が並んだときはこの方が格好いいのでこんな活字も作られたのです。実は ligature とはまとめるとか束ねるという意味の言葉なんです。まさに字をまとめていますよね。こうしたリガチャーの中には、ちゃんとした文字に出世したものもあります。&アンパサンドがそれ。ラテン語やフランス語の et のリガチャーが変形して&になりました。
ところで、クラリネットやサックスを吹いたことのある方はリガチャーを知っていると思います。このリガチャーは吹き口にリードを固定する金具です。これもよく考えるとリードを束ねて固定しているわけで同じ語源なのがわかります。
では、ここで問題。図の4つ目の文字はなんでしょう。これも合字です。
これはアルファベットで考えていたら答えは出てきません。日本語の より を一文字で表したものなんです。明治時代以前の古文書を見るとよく出てきます。くずし字で「よ」と「り」をつなげたような形ですが、必ずこれで1文字の扱いです。
英語のリガチャーにしても日本の合字にしても、もう使われないものだからいまさら何だと思うかもしれません。でも「AE」も「より」もJISやユニコードで文字コードが決まっているというから驚きです。-- Y.O. ---