今回はちょっと数学の話をします。ネピアあるいはネイピアの数と聞いてなんのことかわかりますか。高校の数学をしっかり勉強した人でもわからないかもしれません。でも e のことだといえばわかるでしょう。
ネピアの数は通常 e と表し、その値は 2.718281828459… と無限に続きます。π(円周率)と並んで数学では重要な定数ですね。いやいや重要なのは数学だけでなく物理や化学など自然を扱う科学では頻繁に出てきます。それはなぜ?。
それは、自然現象には指数関数が非常によく出てくるからなのです。指数関数とは ax、つまりなんとかのx乗です。このとき、なんとかの数 a はいろいろ変わるんですが、これを ekx と書き換えて a の違いを k に押し付けてしまえば、なんとかの数は全部 e で統一できます。
でもなんで e にするの? それは e にしておくと微分や積分が簡単になるからなんです。なにしろ ex は微分しても積分しても ex なんですから。
…と説明してみましたが、それでも e ってなんだかわかりにくいですね。πが直径と円周の比だという定義に比べると実に難しいです。歴史的に見た最初の定義は、
(1+1/n)n のnを無限大にしたときの極限値
となっています。でも、これではさらに何のことなのか理解しにくいでしょう。e とは何? と聞かれて自然対数の底と答えることもあります。でも、これは本末転倒で、e があるから自然対数ができたんですよね。
πと比べると何もかも難しい e ですが、値を求める計算は π よりはるかに簡単です。小数第3位(2.718)くらいまでなら小学生でも計算できるでしょう。- Y.O. ---