ダイヤル

 ダイヤルとは、ある年齢以上の人々には電話のジーコジーコと回す円盤のことでしょう。さらに年上の方だとラジオの選局に使うつまみかもしれません。そんなダイヤルも今はほとんど見られませんね。
 でもダイヤルという言葉はしっかり残っています。電話回線でネットにつなぐことはダイヤルアップといいますよね。同じ電話番号にかけなおすことはリダイヤル。ようするに、電話をかけること=ダイヤルとなってしまっているのです。もともとダイヤル(Dial)とは何かを表示する盤のことで、語源は日時計の文字盤らしいのです。それなのに、今ではコンピューターが自動でネットにつなぐ場合でもダイヤルというのですから不思議なものです。
 このように一度定着した言葉は、本来意味していた実体がなくなっても使われ続けるものです。蒸気機関車がなくなってから後も、踏切の標識に汽車の絵が長く使われていました。また、今ではチンという音のする電子レンジはほとんど姿を消しましたが「チンする」という言葉は健在です。イギリスではもっとすごいですよ。電話をかけることを ring という動詞で表します。ring の元の意味はベルがリーン()と鳴ることです。昔の電話は本当にリーンとなったのです。これはチンするの大先輩のようなものでしょうね。
 ところで Dial をダイヤルと書くことに違和感を感じませんか。今ならダイアルの方が通りがよさそうなものです。日本に入ってきたのは多分明治時代でしょう。当時はダイヤルと表現したんですね。- Y.O. ---



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