対数

 情報に限らず、対数はいろいろなところで出てきます。高校の数学で習った対数を"何の役にも立たない"と思っている人がいるとしたら非常に残念なことですね。対数は数学の中でもトップクラスの役立ちものです。なぜかというと、それは人間の感覚が対数的にできているからなんです。頭で対数が理解できなくても、体は対数を感じています。
 対数は log x で表しますが、
   log 1 = 0   log 10 = 1   log 100 = 2   log 1000 = 3
となります(常用対数の場合)。xが1から10に増えるとき、xの9の増加に対して log x は1増えます。ところが、xを100から増やしていって log x がさらに1大きくなるためにはxを1000にしなければなりません。900の増加です。
 1から10の変化と100から1000への変化が、対数では同じ1の変化なのです。これは「小さいところは細かく見て、大きいところは大ざっぱに見る」といえます。人が光や音を感じるときも同じです。つまり小さい(少ない)ものには敏感で、大きいものには鈍感になるのです。
 暗闇では蝋燭一本の光でも明るくなったと感じます。なのに同じ蝋燭でも炎天下におけば明るさの変化は感じません。このことは、金銭感覚でも同じ。100円のチョコレートが90円になれば、ちょっと安いと思うでしょう。でも100万円の自動車が10円安くなっても何もありがたくないですね。同じ"安さ"を感じるには90万円にしなければだめです。式で書けば、
   log 100 - log 90 = log 1000000 - log 900000
なのです。
 高校の数学の先生からこんな話を聞いたことがあるとしたら、あなたはとても幸せな人です。たいていは、「対数を使うと、掛け算を足し算でできる」とか役にも立たないことしか教えてくれませんから。- Y.O. ---



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