アナコンとはアナログコンピューター(analog computer)の略です。昔は、コンピューターにはディジタルとアナログがあり…なんて解説がありました。でも、今考えるとアナコンがなぜコンピューターと呼ばれたのか不思議に感じます.
アナコンはコンピューターいうよりプログラマブル電子回路と言った方が分かりやすいと思います。実際に抵抗などの素子や増幅器を配線して電気の流れがどうなるのかを観察する装置で、プログラムするということは配線するということになります。たとえば加算は、1ボルトの電圧と2ボルトの電圧を加算回路に入力すると3ボルトの出力が出るといった具合です。もっとも、アナコンが得意とするのはそんなことではなく、振動現象などの微分方程式を解くというようなことでした。
この場合の解くというのも、もちろん式が出るわけではなく、振動の様子が紙の上に曲線で描かれるということです。昔は微分方程式を数値的に解くのが難しかったので、回路を作って実験したほうが早いという発想でしょう。しかしアナログの宿命として精度が悪くダイナミックレンジ(動作範囲)も狭いという欠点はどうしようもありません。
普通の(ディジタルの)コンピュータが発達してくると、アナコンの機能はコンピューターのソフトで実現され、ハードウェアとしてのアナコンは姿を消しました。今なら仮に同じような物があっても、それをコンピューターと呼ぶことはないでしょうね。--- Y.O.
大同工業大学 情報学部 大石研究室