参照

 参照(reference)はどこでも使われる言葉ですが、コンピューターではエクセルなどのセルの参照で使われますね。たとえば、ワークシートのA1(A列1行)のセルに 「=B2+5」 と書くとB2(B列2行)に入っている数に5を足すという意味になります。このとき A1 は B2 を参照しているといいます。
 ここまでは問題ありません。では、このとき B2 は A1 の参照先でしょうか、それとも参照元でしょうか? 実はこの言葉が非常に混乱をきたしているのです。
 エクセルのヘルプを見ると、B2 は A1 の参照元となっています。???。これ、なんだか変じゃないですか。
 エクセルの考え方は、情報が B2 から A1 へ流れているので、B2 が「元」で A1 が「先」ということでしょう。でも、参照するという行為は照らしあわせて参考にすることですから、行為の主体が「元」で、参照される側が「先」と考えると逆になってしまいます。参照の代わりに照会という言葉で考えるとさらに分かりやすいでしょう。
 さあ、どっちが正しいのでしょう。エクセルはアメリカ生まれのソフトです。では英語では何といっているのか調べると…、A1 は dependent cell、B2は precedent cell となっています。dependentは依存するという意味、precedent は先行するという意味なので納得いくでしょう。なのに日本語版エクセルではどうして上のようになっているのでしょう。
 そもそも参照先とか参照元という言葉がこれまでにあったのでしょうか。考えれば考えるほど混乱してしまいます。--- Y.O.

→ IT用語もくじ へ       → 大石研究室TOP へ

大同工業大学 情報学部 大石研究室