90度回転したアスタリスク

 アスタリスクの説明で、電話機のアスタリスクは向きが90度回転しているという話を書きました。その後も気になっていたので、逓信総合博物館に行って確認してきました。
 博物館の技術担当の方はこんな質問にも親切に対応してくださいました。お話によると、電話機のボタンのアスタリスクはITU-T(International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector)の勧告に従っているとのことです。そして見せていただいたITU-T E.161という資料には横向きアスタリスクの図が出ていました。多くの電話機メーカーはこれに従っているけれど例外もあるということです。さて、それで、なぜ横向きになったか?についてはITU-Tには何の記述もありません。残念ながら博物館の方も分からないとのことです。
 そこで、さらにITU-AJ(日本ITU協会)にも問い合わせてみました。ここでも技術国際協力部の方が親切に調べてくださいましたが、「キーパッドについて激しい議論があったことは確認されているが、アスタリスクの向きに関する記録はない」とのことです。残念。
 ことろで、最近「この横向きアスタリスクはアスタリスクとは別物でスターと呼ぶのだ」という記事を見かけました。しかし、これは正しくないでしょう。実はITU-Tの記述にはこの記号の名前が明記されていないのです.書かれているのは
 The symbol will be known as the star or the equivalent term in other languages.
という曖昧な表現だけ。この記号はstarまたは他の言語の等価な言葉で知られるだろう、というような意味ですから"star"と定義しているわけではありません。またstarはアスタリスクの俗称であるため、横向きアスタリスクをstarとして区別すると普通のアスタリスクをstarと呼べなくなってしまいます。
 それにしても90度回転の謎は未だに闇の中です。
 いやちょっと待って。変なことに気づきました。このページのタイトルのは「90度回転したアスタリスク」でいいのかな? 「30度傾いたアスタリスク」ではないのか??? --- Y.O.

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大同大学 情報学部 大石研究室